感染急増を受け医療体制の拡充進む、各県では独自の物流規制を実施

(ラオス)

ビエンチャン発

2021年04月30日

ラオス新型コロナウイルス特別対策委員会は4月24日、国内の新型コロナウイルスの感染急増を受け、首都ビエンチャンの3つの公営病院に計216床を用意するほか、軽症者・無症状者用として、競技場や軍施設などに計1,150床の治療センターの設置を進めることを発表。また、26日付の首相府告示では、各病院の退職したスタッフや、ボランティアなどを動員し、医療人材の拡充を図るよう勧告するなど、医療体制の拡充を急ピッチで進めている。

ラオス国内の新型コロナウイルス累計感染者数は、2020年3月から2021年3月末までの約1年間で49人にとどまっており、周辺国と比較して感染拡大の抑え込みに成功していた。しかし、2021年4月の「ラオス正月」に合わせ、隣国タイからの帰国労働者や不法入国者の感染が確認される事例が相次いだ。4月21日に28人の感染が確認されて以降、首都ビエンチャンを中心に市中感染が急速に拡大し、26日には113人の感染が確認され、ラオス全土の累計感染者数は436人に達した。

各地で独自の感染防止措置、物流をめぐる規制の強度に温度差も

ラオス政府は4月21日、翌22日から5月6日まで、首都ビエンチャンと他県との往来禁止、首都での原則外出禁止などを求める首相命令を出した(2021年4月23日記事参照)。21日以降、国内の各県においても、ロックダウンを含む独自の感染拡大防止措置が相次いで取られている(各県の措置については添付資料表参照)。各県の措置においては、特に商品の輸出入や、県間・県内の輸送に関する制限に強弱の差が大きい。

例えば、中国雲南省と国境を接する北部ボケオ県では、県への許可のない出入境を禁止する往来制限措置に加え、外国からの海産物、農産物の県内輸入の全面禁止など、他県にはない厳格な措置を通達している。このような状況に対し、政府は上述の4月26日付の首相府告示において、商品の輸出入や国内の商品輸送が平時と変わりなく行われるよう、公共事業運輸省と地方政府の間で連携を進めることを求めた。同告示ではまた、輸出入や商品輸送を制限する措置については、全国統一的に実施することを勧告している。

(岡田脩太郎)

(ラオス)

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