メキシコと米国のメディア会社が世界最大のスペイン語メディアを設立へ

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2021年04月15日

メキシコのメディア放送最大手テレビサ(Televisa)と、米国のスペイン語コンテンツ配信大手ユニビジョン・コミュニケーションズ(Univision Communications)は4月13日、テレビサのコンテンツとメディア資産をユニビジョンと統合させ、世界最大のスペイン語メディア会社となるテレビサ・ユニビジョン(Televissa-Univision)を設立すると発表した。

統合に当たり、テレビサが新会社の45%の株式を保有する。また、テレビサは48億ドル相当のコンテンツ資産を提供し、ユニビジョンは現金30億ドルと同社普通株7億5,000万ドル、シリーズB優先株式7億5,000万ドルを支払う。他方、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドらによる10億ドルのシリーズC優先株式による資金調達も予定している。今後、米国とメキシコで規制当局の承認手続きなどを進める。

なお、テレビサはケーブルテレビや固定電話、インターネットのパッケージサービスを提供するイッツィ・テレコム(izzi Telecom)、衛星テレビのスカイ(Sky)などの事業を自社事業として継続するほか、メキシコ国内のテレビ・ラジオ放送の許認可とメキシコ国内の不動産については自社資産として維持する。また、メキシコ国内のニュース番組については、テレビサのオーナーのアスカラガ家が経営する制作会社が新会社の下請け業者として制作する。

テレビサはメキシコ市に拠点を構えるスペイン語圏最大級のケーブルテレビオペレーターで、4つの無料放送チャンネルと、27の有料テレビネットワークチャンネル、映画スタジオ、Blim TVサブスクリプション・ビデオ・オンデマンド(SVOD)サービスを提供し、ネットワークのある世界70カ国のコンテンツを配信している。2020年に同社が製作したコンテンツは8万6,000時間に上る。ユニビジョン・コミュニケーションズはテキサス州サンアントニオ市を拠点に、米国を代表するスペイン語のコンテンツおよびメディア企業。米国内に61カ所のヒスパニック向け放送局を運営し、テレビサのコンテンツも配信している。

テレビサ最高経営責任者(CEO)のエミリオ・アスカラガ氏はプレスリリースで、「テレビサ・ユニビジョンはデジタルプラットフォームを通じてイノベーションと成長をより積極的に追求する。ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドや、グーグル、レイングループといった投資家は、この統合によってもたらされるさまざまなチャンスに期待している」と述べた。

テレビサによると、全世界でスペイン語話者人口は6億人以上、総GDPは7兆ドル以上という巨大な市場でありながら、インターネット配信サービス(OTT)へのアクセス率はその10%に満たないという。一方、英語話者の場合は70%以上が少なくとも何らかのストリーミングサービスを利用している。

(志賀大祐)

(メキシコ、米国)

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