韓米首脳会談への国民の期待、ワクチン確保が最優先

(韓国)

ソウル発

2021年04月30日

韓国の全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に相当)は、5月下旬に米国ワシントンで調整が進められている韓米首脳会談に関連し、「韓米首脳会談に国民が期待すること」についての調査結果を公表した。調査は全国の成人約1,000人を対象に、4月21~22日に実施された。

韓米首脳会談で韓国が獲得しなければならない成果については、回答者の31.2%が「ワクチンスワップ」(注1)を挙げ、最も高かった。以下、「福島原発処理水放流問題の議論、日韓関係の改善」が21.2%、「韓米間の先端技術協力、サプライチェーン協力などの経済的成果」が18.6%、「北朝鮮問題の方向性の協議、国際社会への共同メッセージ」14.8%の順となった。

文在寅大統領の訪米時に、韓米首脳会談以外で優先的に取り組むべき活動としては、「ワクチンの円滑な供給のために民間企業への接触」が71.7%と他を大きく引き離した。また、韓米関係と外交戦略については、「日本、オーストラリアと同様に米国の域内リーダーシップに積極的に賛同すべき」と回答した割合が44.3%で最も高く、次いで、「米中関係のバランスを考慮した戦略的な曖昧性を維持」が37.7%だった。

本調査では、韓米関係に加え、日韓関係や米朝対話に関する設問も設けられた。日韓関係の方向性については、「日韓関係改善に向けた直接的な努力が必要」と回答する割合(注2)が49.4%、「関係改善の前に懸案を解決するほうが優先」と「関係改善の必要なし」の合計が45.6%と、国民の意見が拮抗(きっこう)する結果になった。

米朝対話については、「非核化に対する実質的な進展が優先、米朝対話はその後」と回答する割合が43.6%と高かったものの、「米朝対話の再開」(20.8%)、「米国による経済制裁緩和と米朝対話の再開」(23.1%)を合計すると、非核化の進展と米朝対話のいずれが先かという課題についても、ほぼ同じ割合を示す結果となり、国民の意見が割れた。

(注1)米国が先に韓国に対しワクチンを緊急支援し、韓国は後にワクチンを大量生産して米国に返却する仕組み。

(注2)2国間および多国間の枠組みを通じた直接的な努力の合計。

(当間正明)

(韓国)

ビジネス短信 b4800ad41896508e