任期満了前の前倒し議会選実施に向けパシニャン首相が辞任

(アルメニア)

欧州ロシアCIS課

2021年04月28日

アルメニアのニコル・パシニャン首相は4月25日、任期満了前の辞任を表明した。6月20日実施予定の前倒し議会選挙のため。憲法規定上、議会の解散と首相の辞任が必要とされる。

首相は前倒し議会選の理由について、「2020年にアルメニアはナゴルノ・カラバフ紛争敗北という『壊滅的な出来事』に見舞われた(2020年11月11日記事参照)。その原因や今後の対応について政治家、政府関係者、知識人、聖職者、非政府組織などと議論したが、市民に対しても過去と現在を評価し、将来を決定する機会を議会選というかたちで与えたかったため」と述べた。

首相の辞任に伴い、内閣は総辞職した。憲法の規定にのっとり、新内閣発足まで首相以下、現閣僚が職務を継続する。

パシニャン首相は、前倒し議会選に自身が創設した与党「国民の合意」から立候補し、再度、首相職を狙うと表明している(「インターファクス通信」4月25日)。

アルメニアの研究機関ポリエコノミアのアンドラニク・テバニャン所長は、今回の辞任理由について「2020年11月のナゴルノ・カラバフ紛争停戦直後から始まった、過去数カ月にわたるパシニャン首相に対する市民の抗議集会やデモ行進などが背景にある」と指摘。新首相ポストをめぐっては「パシニャン氏とロベルト・コチャリャン元大統領の一騎打ちになる」との見方を示した(ロシアメディア「クラスナヤ・ベスナ」4月25日)。

(齋藤寛)

(アルメニア)

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