金融業界などに気候変動による影響の開示を義務付け

(ニュージーランド)

シドニー発

2021年04月14日

ニュージーランド政府は4月13日、金融業界などを対象に、気候変動が財務などに与える影響に関する情報の開示を義務付ける法案を議会へ提出したと発表した。同国は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げており、低炭素社会への移行を促進する狙いがある。

今回の法案では、資産総額が10億ニュージーランド・ドル(約770億円、NZドル、1NZドル=約77円)を超える銀行や資産運用会社、運用資産総額が10億NZドル超か保険料収入が年間2億5,000万NZドル超となる保険会社のほか、ニュージーランド証券取引所に上場している株式・債券発行者など、ニュージーランドで登録されている約200社が対象となる。外国企業でも、ニュージーランドでの事業が要件に該当する場合は対象となる。開示内容については、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」(注)の提言に基づき、外部報告委員会(XRB)が基準を作成する。今回の法案が議会を通過した場合、最初の情報開示は2023年に行われることとなる。

ジェームズ・ショー気候変動問題担当相は「金融業界が投資による気候への影響を把握していなければ、2050年までにカーボンニュートラルを達成することはできない」と述べ、法案の重要性を強調した。なお、ショー気候変動問題担当相は同日、ニュージーランドの2019年の温室効果ガス排出量が前年から2%増加したと発表しており、「排出量削減に向けて行動を起こす緊急の必要性が高まっている」と述べている。

(注)G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示と金融機関の対応策について検討すべく設立された組織。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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