新移民法が施行、不法入国・滞在者向け措置も発表

(チリ)

サンティアゴ発

2021年04月27日

チリで新しい移民法が4月20日に施行された。従前の法律は1975年に制定されたもので、内容を近代化する目的のもと、2013年に新移民法案が下院に提出され、約8年の審議期間を経ての施行となった。

新移民法では、チリに居住することを選択した外国人は、チリ人と同様の権利や義務が与えられることや、居住目的でチリに入国する外国人は、出身国のチリ領事館において滞在用のビザを申請しなければならないことなどが定められている。これまでは、観光目的でチリに入国し、入国後に滞在許可への切り替え申請を行うことが可能だったが、不法に滞在する外国人が後を絶たず、規制を強化することになった。加えて、新たに居住目的でチリに入国する外国人は、チリ入国1日目から身分証明書(cédula de identidad)を所持した状態となることが発表されており、不法滞在者や不法入国者との区別をつける目的があるとみられる。新移民法にはほかにも、移民庁(Servicio Nacional de Migraciones)の創設と、州ごとに地域局が設置されることが規定されており、ビザの申請や延長にかかる時間が短縮されることが期待される。

不法入国・滞在者向けの措置を発表

新移民法施行に伴い、政府は不法入国・滞在者向けの措置を発表した。2020年3月18日よりも前にチリに合法的に入国した全ての外国人は、オンラインで滞在許可書の申請が行えることになった。申請には、出身国発行の無犯罪証明書(必要に応じて認証またはアポスティーユされたもの)、申請時に有効なパスポート(ベネズエラ人の場合、2013年以降に発効された期限切れのパスポートでも可)、旅行者カード(tarjeta de turismo)または現在所持しているビザをアップロードする必要がある。申請期間は4月20日から180日間で、申請料は18歳以上は90ドル、18歳未満は無料となっている。同申請が承認されれば、1年間の短期居住許可(Visa Temporaria)が付与され、申請を行った時点からチリ国内での就労が可能となる。また、2020年3月18日以降に合法的に入国したものの、不法滞在となっている者には、罰金を支払うことでビザの申請が行えることになった。一方で、チリに違法に入国した外国人は、罰せられることなくチリから出国することができるが、出身国のチリ領事館を通してビザの申請と付与が行われた者に限り、再入国することが可能となっている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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