チャドのデビ大統領、6選の直後に武装勢力との戦闘で死亡

(チャド、コートジボワール)

アビジャン発

2021年04月21日

中部アフリカ・チャドのイドリス・デビ大統領が420日、北部カネム州の視察中に反政府武装勢力との戦闘に巻き込まれて負傷し、首都ヌジャメナに搬送されたが、死亡した。軍の報道官アゼム・アグナ将軍が「デビ元帥は国土防衛のため戦場で死力を尽くした」と国営テレビで声明を読み上げた。同大統領の死去を受け、軍は政府と国民議会を解散し、軍事評議会による18カ月間の暫定統治を発表した。同評議会は、同大統領の息子のマハマ・イドリス・デビ将軍を暫定後継者に指名した。

チャドでは411日に大統領選挙が実施され、選挙管理委員会は19日に、デビ大統領が6選を果たしたとする暫定開票結果を発表したばかりだった。

また、チャド国軍は419日、大統領選投票日の11日に隣国リビアの基地から首都ヌジャメナへの侵攻を目指し、大規模な襲撃を開始していた反政府武装勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で、前週末にFACTの戦闘員300人を殺害し、壊滅させたと発表した。米国と英国は17日、ヌジャメナ市内で暴力行為の恐れがあるとして、チャドに滞在する自国民に退避を勧告していた。

チャドはサヘル地域の地政学上、極めて重要な位置にあり、同地域の対テロ作戦で重要な役割を果たしている。チャドに駐留するフランス軍は過去に、リビア南部から侵攻してきた武装勢力に対して空爆を行い、チャドを防衛するため軍事介入している。今回の武装勢力の侵攻に対しては、2国間の軍事協定に基づき、チャド政府に対する後方支援や医療支援、情報提供などにとどめ、軍事介入にはいたっていない。

(渡辺久美子)

(チャド、コートジボワール)

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