IMF、イランの2021年実質GDP成長率を2.5%と予測

(イラン)

テヘラン発

2021年04月16日

IMFは4月11日に発表した「地域経済見通し:中東および中央アジア」で、イランの2020年の実質GDP成長率を1.5%のプラス成長とした。2021年は2.5%、2022年は2.1%のプラス成長を予測している。

同報告では、2020年第4四半期(10~12月)に原油価格が上昇したことなどが産油国のプラス成長の見通し要因として指摘している。また、イラン商工会議所は、米国のトランプ前大統領によるイラン核合意〔「包括的共同行動計画(JCPOA)」〕からの離脱と、イランに対する経済制裁の実施により、2018年、2019年がそれぞれマイナス6.0%、マイナス6.9%と大幅なマイナス成長だったとしており、2020年と2021年のプラス成長はその反動と考えられる。

部門別に見ると、非石油部門の2020年の実質GDP成長率は1.3%(2019年は0.9%)、2021年と2022年の予測値はそれぞれ2.3%、2.0%としている。米国の経済制裁強化の影響を受け、2019年にマイナス38.9%と大幅なマイナス成長となった石油部門の実質GDP成長率は、2020年は3.1%のプラス成長となり、2021年、2022年もそれぞれ4.1%と2.4%のプラス成長を予測している。

イランの2020年の名目GDPは、2019年の5,810億ドルから6,357億ドルに増加、2021年、2022年の予測値も6,829憶ドル、7,147億ドルと増加傾向が続くとしている。

2019年に34.6%としたインフレ率については、2020年は36.5%と増加、2021年の予測値ではさらに増加して39.0%としているが、2022年には若干の落ち着きを見せ、27.5%と予測している。

2020年は40億ドルとした公的準備資産については、2021年には122億ドル、2022年には210億ドルに回復すると予想しているが、イラン中央銀行総裁は4月13日、イランの公的準備資産に関するIMFの報告は不完全だとの見解を示している。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン)

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