ソマリア大統領の任期延長を閣議決定、選挙は実施されず

(ソマリア、ケニア)

ナイロビ発

2021年04月16日

ソマリア連邦政府は4月13日、モハメド・アブドゥライ・モハメド・ファルマージョ大統領の任期を2年延長することを閣議決定した。各種報道によれば、上院議長は、選挙を経ずに大統領の任期を延長したことを違憲だと非難している。ソマリアの選挙プロセスを支援してきた国連はこの決定に対し、同国の平和・安全・安定を弱体化させるものだとした。米国のアントニー・ブリンケン国務長官も「深く失望した」とのコメントを発表した。ロイターによれば、翌14日に首都モガディシュでミニバスが爆破され、15人が亡くなる事件が発生した。アルカイダ系のイスラム過激派組織アル・シャバーブが政治的混乱を利用したとの見方が広がっており、警戒が高まっている。

ファルマージョ大統領は、2017年2月に行われた大統領選挙(間接選挙)で当選した。2016年~2017年には上下院議員選挙も行われ、新しい連邦議会の創設を支援した国連やパートナー機関からは「画期的な出来事」と評価されていた。2021年2月にあらためて大統領選が行われる予定だったが実施されず、ファルマージョ大統領の4年の任期は満了している状態だった。隣国ケニアでは、選挙が実施されなかった理由について、連邦政府や地方自治体などの間で選挙に関する合意に至らなかったためと報じられている(「イーストアフリカン」紙4月6日)。

(久保唯香)

(ソマリア、ケニア)

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