2月のインフレ率が上昇傾向、中銀目標上限に迫る勢い

(メキシコ)

米州課

2021年03月24日

メキシコ国立地理情報統計院(INEGI)は3月9日、2月の消費者物価上昇(インフレ)率を発表した。単月(指数の前月比)で0.63%、年率(指数の前年同月比)で3.76%だった。

2月単月の内訳みると、天候などによる価格変動が大きい農産品や政府の方針で決定される公共料金を除いたコアインフレ率が0.39%だった。一方、農畜産品価格や光熱費、燃料価格などから成る非コアインフレ率は1.36%と上昇が目立つ。農畜産品は0.22%低下したが、光熱費・公共料金が2.50%と大幅に上昇した。

年率の変動に注目すると、2020年12月の3.15%から、2021年1月は3.54%、2月は3.76%と上昇傾向にある(添付資料図参照)。中央銀行は年率のインフレ目標値を2%~4%と設定しており、上限の4%に近づきつつある。中銀は2019年8月以降2020年9月の会合まで11会合連続で利下げを実施し、その後は2会合連続で金利を据え置いた。そうした中、2月11日に開催された金融政策決定会合では、政策金利を0.25ポイント引き下げて4.0%にすると決定し、3会合ぶりの利下げを実施している。米国連邦準備制度理事会(FRB)が3月16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模金融緩和の継続を決めたことで、メキシコにもさらなる利下げ余地が生まれているが、足元ではインフレ懸念が台頭しており、次回予定されている3月25日の金融政策決定会合でどのように対応するか注目される。

(高氏朋佳)

(メキシコ)

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