2020年第4四半期の実質GDP成⻑率、前期比0.3%

(スイス)

ジュネーブ発

2021年03月04日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は2月26日、2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前期比0.3%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表参照)。第4四半期は、10月からの新型コロナウイルス感染拡大の第2波の影響を受けて、第3四半期(7~9月)と比べると減速したが、2020年3月からの第1波の影響を受けた第2四半期(4~6月)と比べると、スイス経済が受けた影響は限定的だった。2020年通年の実質GDP成長率(速報値)はマイナス2.9%となった。

第4四半期のGDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比1.5%減と縮小した。一方で、企業の投資再開により設備投資(前期比1.9%増)と建設投資(同0.1%増)が増加し、国内経済の安定に寄与した。政府の追加的な支援策支出により、政府消費支出(同2.3%増)も拡大した。内需は0.2%減の微減となり、輸入も財(同0.4%減)、サービス(同1.1%減)ともに減少した。輸出は財が前期比1.0%減少したが、サービスは0.4%増と微増した。

産業別にみると、一部のサービス部門は営業制限や店舗閉鎖などの活動制限措置の直接的な影響を受け、経済活動の中断を再び余儀なくされた。宿泊・飲食サービスと芸術・娯楽・レクリエーションは第3四半期に大きく伸びた反動もあり、それぞれ20.8%減、7.7%減と大きく減少した。移動制限措置に伴うスイス国内の移動の低下を反映して、輸送・通信も0.5%減となった。医療・介護(同0.7%減)も減少した一方で、金融(同0.7%増)、ビジネス関連(同0.4%増)は伸び、サービス部門全体では第2四半期ほどの落ち込みにはならなかった。製造部門(同1.4%増)はアジア主要経済国の需要増加に支えられて伸びた。2020年前半に大きく落ちこんだ時計製造・精密機器、機械・金属などの輸出産業は回復を続けた。

スイス経済は2020年、「新型コロナ危機」により第2四半期に最も深刻な打撃を受け、第3四半期に力強い回復を見せたが、第4四半期に再びその回復が妨げられた。サービス部門はとりわけ大きな影響を受け、個人消費がかつてない水準まで落ち込み、通年の実質GDP成長率(速報値)はマイナス2.9%となった。1975年の石油危機時の水準には至らなかったものの、2009年の金融危機の際(同2.1%減)のマイナス成長を下回った。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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