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米上院、タイ氏のUSTR代表指名を全会一致で承認

(米国)

ニューヨーク発

2021年03月18日

米国連邦議会上院は3月17日、米国通商代表部(USTR)代表に指名されていたキャサリン・タイ氏の人事を98対0の全会一致で承認した。今後、バイデン政権の通商政策が本格的に動き出すことになる。

上院の採決では、メイジー・ヒロノ議員(民主、ハワイ州)とバーニー・サンダース議員(民主、バーモント州)の2人が棄権したものの、反対なしの全会一致で承認された閣僚はバイデン政権では初となる。タイ氏はUSTR代表に指名されるまでは、下院歳入委員会の通商担当首席法務官(民主党側)を務めており、2020年7月に発効した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に関するトランプ前政権と議会民主党との交渉妥結に手腕を発揮するなど、もともと議会の評価が高い人物だった(2020年12月14日記事参照)。2月下旬に上院財政委員会で開催された指名承認に関する公聴会でも、参加した議員からタイ氏の能力を高く評価する声が相次いだ。

なお、バイデン政権の通商政策の大方針を示す「2021年の通商政策課題」は、タイ氏が承認される前の3月1日にUSTRが既に発表している(2021年3月3日記事参照)。そこでは「労働者中心の通商政策」を掲げ、USMCAをはじめ既存の貿易協定における労働ルールの執行強化などを強調した。その他、民主党が重視する環境問題について「炭素調整措置」の導入を検討するとともに、中国の不公正な貿易慣行にはあらゆる手段を講じて是正を試みるとしている。

2月下旬の指名承認の公聴会でも、タイ氏は最優先課題として、新型コロナウイルス感染のパンデミックで打撃を受けた経済の回復を挙げ、次いでUSMCAの執行や、同盟国との連携を踏まえた中国がもたらす課題への対応、通商政策課題の要旨に沿った項目を強調している。公聴会では、その他の課題についてもタイ氏に質問が投げかけられた。例えば、対中追加関税を含むトランプ前政権が発動した追加関税の見直しに関する問いには、関税は通商政策における「正統な措置」との考えを示した一方、具体的な見直しの方向性に関する言及は避けた。

また、中国の台頭を受けて、トランプ前政権で米国が離脱し、その後、11カ国で発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)に復帰するかとの問いに、タイ氏は、パートナー国と協働すべきという基本的な方程式は現在も妥当だが、過去数年に起こった変化も踏まえて、まずはアジア太平洋諸国と多国間で中国の問題に取り組みたい、と直接的な回答は避けた。公聴会後の書面での質疑応答でも、CPTPPについて「2016年の署名時から多くのことが変化しており、承認された場合は(バイデン政権の)より良く再建(Build Back Better)するための政策方針との整合性を精査する」と回答している。

タイUSTR代表の下で具体的な通商政策が明確になるのは、今後の米中間のハイレベル協議や、同盟・友好国との対話の進展次第とみられる。一部の米側識者は、11月に開催予定のAPEC首脳会合にバイデン大統領が参加する場合、そこが1つのターニングポイントになる可能性があると指摘する。

(磯部真一)

(米国)

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