香港政府、EV普及ロードマップを公表

(香港)

香港発

2021年03月26日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)環境局は3月17日、2020年11月の施政報告で2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスの排出を実質ゼロにする取り組みが発表されたことを受け、電気自動車(EV)普及に向けたロードマップ(行程表)を公表した。環境局による、EV普及に関する行程表の公表は初となる。

行程表は、グリーン・脱炭素化に向けたイノベーション、自家用EV、商用EV、充電施設、保守・修理、電池回収の6項目で構成されている。2050年までに全ての自動車の排ガスをゼロにする目標に向けて、香港政府は2025年をめどに公共交通機関へのEV試験導入を積極的に進めつつ、具体的な推進の方向性と行程表を策定するとしている。また、20億香港ドル(約280億円、1香港ドル=約14円)以上を投入し、充電設備を民間商業施設・住宅に15万カ所、公共施設に5,000カ所増設する。さらに、2035年までに、化石燃料車・ハイブリッド車の自家用自動車新規登録を停止することを目指している。

重点政策として、以下の1.~3.が挙げられている。

  1. 自家用EV:自動車の初回登録税・車両登録費用の優遇措置、公共駐車場での無料充電。
  2. 商用EV(公共交通機関):初回の登録税・法人税の免除、新エネルギー運輸基金(New Energy Transport Fund)から補助金を交付。
  3. 充電施設:民間・公共住宅や駐車場への充電施設建設を促進・補助。

なお、香港では、2021年2月末時点で、EVの利用台数は1万9,111台となっており、100台以下だった2010年に比べて200倍以上に増加した。黄錦星環境局長は、2020年の香港における新規登録自動車の約8台に1台がEVで、アジアの中ではEV占有率が高いと述べた。

(注)香港政府が2011年3月に3億香港ドルを投入し、環境にやさしく革新的(グリーン・イノベーティブ)な輸送技術の試験導入・応用を促進するために設置した補助金スキーム。2020年にさらに8億香港ドルが投入された。

(カン・カレン)

(香港)

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