フランスにおける拠点設立セミナーを開催、約300人が参加

(フランス)

パリ発

2021年03月11日

ジェトロは3月3日、「フランスにおける拠点設立」をテーマにオンラインセミナーを開催した。ジェトロがパリ事務所に設置している「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム(注)」の法務・労務・税務に係るコーディネーターを務める法律事務所FIDALジャパンデスクのメンバーを講師に招き、フランスにおける拠点設立に関係する会社法および税法上の観点から講演を行った。

具体的には、FIDAL労務関係マネージャーの遠藤佳澄氏が、会社形態の選択として、駐在員事務所、支店、有限会社(SARL)、単純型株式会社(SAS)、株式会社(SA)があることを紹介し、会社法および税法上の観点からのそれぞれのメリット、デメリットを詳説した。また、支店と現地法人の違いについて、グループ内取引、法務(法人格、出資、負債、株主総会、代表者、会計監査人など)、税務(法人税、付加価値税、納税申告など)、労務(従業員代表制度、業種別団体協約の適用など)の観点から比較し、具体的事例を用いつつ解説した。

セミナーには、日本国内からの参加者を中心に、298人が参加した。講演後、参加者からは、実際に拠点を設立するに当たって留意すべき事項や会社登記の際の手続き、納税に係る規定や手続きといった、フランスでの拠点設立を検討しているとみられる具体的な質問などもあり、予定時間を超過して質疑応答が行われた。

また、遠藤氏の講演に先立ち、ジェトロ・パリ事務所の井上宏一次長が、フランスの政治・経済および日系企業活動の概況として、「新型コロナ禍」における経済情勢、対仏投資の現状・投資優遇策、在仏日系企業の課題などを説明した。

セミナー開催後の参加者へのアンケートでは、「会社設立形態によるメリット・デメリットがよく理解できた」「質疑応答もより具体的で大変ためになった」などのコメントがあり、「総じて役に立った」「まあ役に立った」という回答が多くを占めた。新型コロナウイルス感染状況の改善がみられない状況下にあっても、フランスに進出・拠点設立を真剣に検討している日本企業が多く存在することが明らかになった。日本企業によるフランス進出が今後、さらに実現することが期待される。

(注)ジェトロでは、中小企業の海外ビジネス展開をサポートするため、現地の官民協力機関などと連携した支援プラットフォームを構築している。専門コーディネーターを配置し、各種情報提供、個別相談への対応、ビジネスパートナーの紹介・取り次ぎなど、各種サービスを一元的に提供している。

(井上宏一)

(フランス)

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