2020年のGDP成長率はマイナス4.1%、ほぼ全ての項目で減少

(ブラジル)

米州課

2021年03月22日

ブラジル地理統計院(IBGE)は3月3日、2020年の実質GDP成長率がマイナス4.1%と発表した。1996年に現行の方法で統計を取り始めて以降、最も減少幅が大きかった。産業別にみると、農畜産業が2.0%増、工業が3.5%減、サービス業が4.5%減で、農畜産業が唯一増加した。

IBGEの3月3日付のプレスリリースによると、農畜産業が増加した理由は、大豆(7.1%増)とコーヒー(24.4%増)の生産量が増加したため。工業では、建設(7.0%減)と製造業(4.3%減)が減少した。IBGEは、「自動車やその他の輸送機器の製造の減少などによるもの」と説明している。ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)の2021年1月8日の発表によると、2020年の自動車(乗用車および軽商用車)製造台数は前年比で31.6%減、その他の輸送機器(バス、トラック)の生産台数は19.9%減だった。

サービス業は、その他サービス(12.1%減)、運輸・倉庫・郵便(9.2%減)が減少した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、旅客輸送への需要が大幅に縮小したためだ。一方、金融仲介・保険(4.0%増)と不動産(2.5%増)はプラス成長した。「新型コロナ禍」を受けてのオンライン決済需要の増加、政府による融資制度の拡充、金融当局の大幅利下げによる低金利効果などが背景にあるとみられる。

需要要素別にみると、新型コロナウイルスの感染防止を目的とした各種行動制限を受け、個人消費支出は5.5%減少した。政府消費支出も4.7%減少した。総固定資本形成(投資)は、政府による大規模な財政出動の効果で第4四半期は前年同期比13.3%増と著増したが、通年では0.8%減だった。財・サービス輸入は、消費と生産活動の停滞を受け10.0%減と大幅に減少した。一方、財・サービス輸出は、農産物輸出が堅調だったこともあり1.8%の減少にとどまった。

レベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは「新型コロナウイルス感染拡大の抑制のため、部分的または全面的に経済活動を停止させたことによる結果だ。多くの人は人が集まりやすい場所での買い物や、サービスを受けることを控えるようになった」と述べ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各州・市がそれぞれ認めた生活に必要不可欠なサービス提供のみに制限していることなど、生産活動や商業活動が停滞したことが影響していると分析した。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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