2020年のアルゼンチンのEC市場、前年比2倍超に急成長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年03月25日

アルゼンチン電子商取引会議所(CACE)は2月24日、2020年のB2CとC2Cを合わせたアルゼンチンの電子商取引(EC)市場が、前年比2.2倍の9,051億4,300万ペソ(約1兆862億円、1ペソ=約1.2円)と発表した。2020年のインフレ率が36.1%だったことを考慮しても、大きく成長した。

急成長の背景には、新型コロナウイルス感染拡大により2020年3月に外出禁止令が発令されて以降、市民の外出に加えて、商業施設と小売店舗の営業が厳しく制限されたことがある。CACEの推計によると、インターネットで買い物をした人の数は、全人口の半数近くの2,005万8,206人に達する。10人のうち6人が、月に一度はインターネットで買い物をしているという。

消費者による商品探しの方法をみると、「検索サイトで探す」消費者が44%と最も多いが、「マーケットプレイスで検索する」や「メーカーの公式SNSで探す」という消費者の割合が新型コロナ感染拡大前と比べて増加した。また、長時間を自宅で過ごしているにもかかわらず、パソコンではなくスマートフォンで商品を探し、購入する消費者が増えた。商品の受け取りは、外出が制限されたことから、「自宅での受け取り」が全体の80%を占め、前年の65%から増加した。

新型コロナウイルス発生後に新たにECで買い物を始めた消費者は128万4,960人と推計されているが、その特徴をみると、(1)中低所得者層、(2)18~20歳、45歳以上、(3)買い物にスマートフォンを使用、(4)耐久消費財を購入、(5)これまでECに不慣れでかつ配送料や配送時間にシビアな層の利用増、となっている。ECの裾野が、幅広い所得層、年齢層に広がっていることが分かる。

売り手側に目を向けると、売り手の半数はマーケットプレイスを利用している。マーケットプレイスを通じた販売額は全体の43%と、前年の31%から大きく増加した。アルゼンチンで設立され、中南米諸国でマーケットプレイスを提供するメルカドリブレによると、2020年のアルゼンチンにおける販売額を前年比で大きく伸ばしたカテゴリーは、医療機器・医薬品(6倍)、食料品(5倍)、パーソナルケア・衛生用品(4倍)、家庭用品・洗濯用品(4倍)、テーブルゲーム(3.2倍)、下着・寝巻(3.2倍)、フィットネス・トレーニング用品(3倍)となっている。商品別では、マスク、アルコールスプレー、携帯電話、トレーニング用マット、おむつが最も売れた商品だった。外出制限が売れ筋にも反映している。

CACEは、2021年も自宅で過ごす時間や在宅勤務が続くと想像されることから、「ECが消費者にとって日常化する」とし、そのため、「商品の消費者の自宅への配送を改善するとともに、商品探しから配送までの消費者の体験をよりシンプルにする」必要があると述べている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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