マハーラーシュトラ州、出勤規制を緩和するも罰則は強化へ

(インド)

ムンバイ発

2021年03月22日

インドのマハーラーシュトラ(MH)州は3月15日、新型コロナウイルス対策のロックダウンの段階的緩和に関する新たな通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。民間を含む事業所の出勤人数の上限を引き上げるなど、一部緩和されたが、同州の感染再拡大を受け、通達の多くは標準作業手順(SOP)の明確化と違反への罰則の強化が占めた。

今回の通達の主な内容は次のとおり。

  • 映画館・ホテル・レストランは定員の50%を上限に営業を許可するが、入場時のマスク着用と検温、手の消毒などを義務化。
  • ショッピングモールは入場時のマスク着用と検温、手の消毒などを義務化。
  • 人が集まるイベントの禁止。
  • 例外的に、結婚式は参加人数を50人以下、葬儀は20人以下の場合のみ認める。
  • 検査陽性時の自宅隔離では、自宅ドアなどに感染が掲示され、陽性を示すスタンプが手の甲に押され、同居人の移動制限も求められる。自宅隔離に関するルールに違反した場合は、即座に隔離施設へ移送される。
  • 医療関連や必要不可欠なサービス(essential service)を除く全ての業種の出勤規制は、従業員数の50%まで引き上げ(従前は30%)、マスク着用と検温、手の消毒などを義務化。

出勤規制の上限引き上げを除けば、内容はおおむねこれまでの通達と同様だ。しかし、これまで営業に関するSOPは原則として各担当部局が個別に設定し、通達内で明確な言及はしてこなかった。罰則に関しても、これまでは個別の明示はほぼなかったが、今回の通達では「違反した施設(商業施設や事業所など)は新型コロナウイルス感染の終息まで閉鎖される」と明示しており、感染防止策順守を徹底させたい考えだ。

MH州では感染の再拡大が進んでおり、感染が深刻な都市ワースト10にムンバイやプネを含む8都市が入り、第2波の発生を懸念する声も聞かれる(「タイムズ・オブ・インディア」紙3月12日)。これに対し、州政府や各自治体はワクチン接種施設の拡充や無料PCR検査キャンペーンの実施など感染対策強化を急ぎ、同時に、マスク不着用者への罰金徴収や飲食店のSOP違反摘発など、取り締まりを強化している。

(比佐建二郎)

(インド)

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