新型コロナ感染の法定隔離実施の被雇用者を対象に手当支給を決定

(チェコ)

プラハ発

2021年03月08日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は3月5日、「隔離中の被雇用者に対する特別手当に関する法律」に署名した。これにより、3月1日から4月30日までの期間、新型コロナウイルス感染による法定隔離が課された被雇用者に対して、隔離手当を支給することが決定した。

同法は、隔離による収入減の幅を縮小することにより、感染した被雇用者の隔離義務と濃厚接触者報告の徹底を目指すものだ。

ヤナ・マラーチョバー労働・社会福祉相は「現在、感染検査陽性者が衛生局に報告する濃厚接触者数は平均1人にとどまっているが、調査の結果、実際には1週間当たり5~6人と接触していることがわかっている」と指摘し、「隔離手当支給により、収入減を恐れる必要がなくなれば、労働者は隔離や接触者報告により協力的になり、感染拡大に歯止めをかけるのに役立つ」と説明している。これには国内雇用者団体も大筋で同意している。

隔離手当は、通常の病欠手当(平均賃金算出基本額の60%、2019年1月25日記事参照)に追加して支払われるもので、1日当たり370コルナ(約1,800円、1コルナ=約4.9円)。ただし、病欠手当に隔離手当を加えた額が当該従業員平均賃金の隔離日数換算額の90%を上回った場合には、その差額分の隔離手当支給額は減額される。

隔離手当の支給期間は最長14日間で、支給対象には、一時的雇用契約締結による被雇用者やパートタイマーも含まれる(ただし、社会保険料支払い対象者のみ)。

隔離手当の支給方法は、隔離実施月の翌月末までにまず雇用者が当該被雇用者に支払い、その隔離義務終了後3カ月以内に手当支給額を社会保険料から差し引くと定めている。

雇用者は必要に応じ、社会保険局を介して、各従業員の主治医から当該従業員に対して指示された隔離の開始日、持続日数に関する情報を受け取ることができる。

(中川圭子)

(チェコ)

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