2020年の失業率、13.5%と大幅悪化

(ブラジル)

米州課

2021年03月04日

ブラジル地理統計院(IBGE)は2月26日、2020年の失業率(注)が13.5%だったと発表した。同年第4四半期(10~12月)の失業率は13.9%で、前期比で0.7ポイント低下し、わずかながら改善した。

雇用形態別にみると、2020年第4四半期の民間セクターの雇用数は、労働手帳を有する正規雇用数が前期比1.8%増の2,990万人だった。非正規雇用数も前期比で10.8%増と回復した。ただ、新型コロナウイルス感染拡大前の前年同期比では、正規雇用数が11.2%減、非正規雇用数が15.8%減と、いまだに回復が十分でないことが分かる。

経済活動分野別では、2020年の民間セクターの雇用数は、商業が前年比13.8%減の430万人で、最も減少幅が大きかった。次いで減少幅が大きかったのは建設で、同12.5%減の590万人。2012年に記録した21.3%減以来の大幅な減少となった。その他、自動車や二輪関連も9.6%減少し、雇用数は1,600万人となった。

IBGEリサーチアナリストのアドリアナ・ベリンギ―氏は「新型コロナウイルス感染拡大により労働市場はかつてないほどに悪化した。社会的距離を確保しなければならない状況下で、商業など一時的に活動が停止した産業もあったため」と、失業率が大きく悪化した要因を分析した。他方、ブラジル経済の中心サンパウロ州では、第4四半期には、新型コロナウイルス対策としての感染警戒レベルが緩和され、商業活動などは営業時間が短縮されながらも再開したことから、ベリンギー氏は「第4四半期の労働市場の回復につながった」と分析している。

2月26日付の現地紙「G1」は「失業率の数値は回復している」と報じながらも、中央銀行の週次レポートFOCUSで2021年のGDP成長率予測が下方修正され続けていることに触れ、「失業率の急速な回復は難しいだろう」と予想している。なお、2月26日付FOCUSでは、2021年のGDP成長率は3.29%と予測している。

(注)2020年第1四半期(1~3月)から第4四半期(10~12月)までの四半期ごとの失業率の平均

(辻本希世)

(ブラジル)

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