ASEAN主要6カ国、2020年の外国人入国・旅行者数は前年比7~8割台の大幅な減少

(ASEAN、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム)

海外調査部

2021年03月17日

ASEAN主要6カ国の発表によれば、2020年の外国人入国・旅行者数は、前年比で軒並み7~8割台の大幅な減少を記録した(添付資料表参照)。最も減少幅が大きかったのは85.7%減のシンガポールで、以下、フィリピン(84.0%減)、マレーシア(83.4%減)、タイ(83.2%減)も8割強の落ち込みを示した。これは、各国政府が新型コロナウイルス対策として2020年3~4月に導入した入国制限や、国内感染対策としての活動制限などの影響によるものだ。

また、外国人入国・旅行者数の減少で、各国とも観光収入の大幅な落ち込みや、観光関連産業における雇用面などでの悪影響も顕在化している。マレーシア政府観光局の発表(2021年3月10日)によれば、同国では2020年の外国人観光収入は前年比85.3%減の126億9,000万リンギ(約3,426億円、1リンギ=約27円)となっている。

ASEAN主要6カ国では、シンガポールを皮切りに既に新型コロナワクチン接種が開始されているが、2021年の外国人入国・旅行者数について大幅な改善は難しいとみる向きが強い。例えば、タイでは「新型コロナ禍」前の2019年には約4,000万人を記録したが、フィファット・ラチャキットプラカーン観光・スポーツ相は2021年の外国人入国・旅行者数に関し、前年実績(670万人)をも下回る500万人と見込んでいる(注)。

(注)バンコクポスト紙2021年2月1日付の「Tourism minister remains upbeat on attracting 5 million visitors」。

(川田敦相)

(ASEAN、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム)

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