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欧州委、財政規律の一時停止を延長する見通し発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年03月04日

欧州委員会は3月3日、EU域内での新型コロナウイルス感染拡大から1年が経過したことから、新型コロナウイルスへの対策としての財政政策に関する政策文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。この政策文書は、財政出動の効果や今後の支援策の終了を念頭に、緊急支援から対象をより絞った支援への移行など、EU加盟国の財政政策の設計で指針となるものだ。加盟国の過剰な財政赤字を回避し、財政規律を確保するための「安定・成長協定(SGP)」において各加盟国が策定し、毎年4月末までに提出する中期財政目標を含む「安定化プログラム(ユーロ圏)/収斂(しゅうれん)プログラム(非ユーロ圏)」への活用が期待される。

欧州委はまた、復興基金の中核政策である総額3,125億ユーロ規模の返済不要の補助金を含む「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」(2021年2月15日記事参照)の実施は財政赤字を増やさずに実行できる一時的な景気刺激策であることから、RRFの補助金は従来の公共投資の代替としてではなく、将来的な経済成長を促す追加投資に充てるべきだと強調。加盟国に対して、中長期の財政バランスの改善のためにRRFを活用するように求めた。

一般免責条項の発動は2022年まで維持の見通し

EUの財政枠組みであるSGPは通常、予算年次ごとの財政赤字をGDP比3%以内に抑えるとともに、債務残高がGDP比60%を超えないことを加盟国に求めている。しかし、欧州委は2020年3月、EU域内での新型コロナウイルス感染拡大を「異常事態」とし、財政規律要件の適用の一時停止(一般免責条項の発動)を提案して、EU理事会(閣僚理事会)が承認した。これにより、加盟国は財政規律に縛られることなく、柔軟な財政支援策を講じることが可能となり、2020年度はEU全体のGDPの約8%に相当する支援が提供されるなど、EU経済の下支えとなっている。そうした中で、欧州委は、早過ぎる財政支援の停止は支援の長期化よりもリスクが大きいとして、加盟国による早期の財政支援の停止に否定的な見解を示した。また、欧州委は、財政規律要件の適用の再開時期に関して、経済活動の2019年末時点の水準への回復といった定量的基準を総合的に考慮する必要があるとし、2023年以降になるとの暫定的な見通しを示した。なお、5月に発表予定の2021年の春季経済予測を基に、財政規律要件の再開時期に関する検討を行うとしている。

(吉沼啓介)

(EU)

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