リチウムのバリューチェーン構築に向けて中国企業と連携

(アルゼンチン、中国)

ブエノスアイレス発

2021年03月10日

中国の江蘇建康汽車(Jiankang Automobile)の代表者らが3月4日、アルゼンチン大統領官邸を訪れ、電気バスとリチウムイオン電池の製造工場設立に向けて、アルベルト・フェルナンデス大統領ら政府関係者と意見交換を行った。大統領府が公式サイトで明らかにした。

江蘇建康汽車は中国のリチウムイオン電池製造大手の国軒高科(Gotion High Tech)の関係会社で、電気バスの製造を手掛けている。中国での2018年の報道によると、国軒高科は江蘇建康汽車の株式を間接的に8.59%保有している。また、ドイツのフォルクスワーゲンが2020年に、国軒高科の株式26%を取得したことでも知られる。

大統領官邸によると、江蘇建康汽車のアルゼンチン代表者と工業生産・開発省は、同社による電気バスとリチウムイオン電池の製造工場の設立推進に向けて、2021年1月24日に覚書(MOU)を締結した。内容は、同社による事業展開に対するアルゼンチン政府の支援と、同社のカウンターパートの確保、自動車産業の電動化の展開を約束するものとなっている。今回の江蘇建康汽車の代表者らのアルゼンチン訪問は、可能性調査が目的だ。

2月3日付の国営通信「テラム」によると、江蘇建康汽車はアルゼンチン国内で、全長12メートルの旅客輸送用バスのシャーシと、リチウムイオン電池の生産を目指しており、国内販売だけでなく、近隣国への輸出も念頭に置いている。アルゼンチン政府は、塩湖からのリチウム採掘、リチウムイオン電池の生産から電気自動車の生産までの「リチウムのバリューチェーン」を国内に構築することを目指しており、「中国企業との連携はその一環」と報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、中国)

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