中小企業や航空・観光産業へのさらなる支援策を発表

(オーストラリア)

シドニー発

2021年03月12日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は3月11日、新型コロナウイルス感染拡大によって打撃を受けた中小企業や航空・観光産業へのさらなる支援策を発表した。連邦政府による経済支援策の1つの賃金補助制度が3月28日に終了することから、影響の大きい業界や中小企業に対象を絞って支援を継続する姿勢を示した。

中小企業に対しては、新型コロナウイルス関連の経済支援策の1つとして実施している政府保証50%の融資制度を拡充する。具体的には、政府保証の割合を80%まで引き上げるとともに、融資限度額を100万オーストラリア・ドル(約8,500万円、豪ドル、1豪ドル=約85円)から500万豪ドルに引き上げ、融資期間を5年から10年に延長する。融資は、投資など幅広い目的に使用できるほか、既存の融資の借り換えに使用することもできる。また、貸し手は借り手に対して最大24カ月の返済猶予を提供することができる。ただし、拡充する融資制度は、賃金補助制度を現在利用している企業のうち、年間売上高2億5,000万豪ドルまでの企業のみ利用可能となる。

オーストラリア国民の海外渡航禁止措置や外国人の入国制限措置などによって大きく影響を受けている航空・観光産業に対しては、総額12億豪ドルの支援策を提供する。具体的には、クイーンズランド州のケアンズやゴールドコースト、エアーズロックを擁するアリススプリングスなど国内の主要観光地13カ所を目的地として、4月以降に販売する航空券の半額を補助し、国内旅行の需要を喚起する。また、空港での保安検査にかかる費用を補助するほか、オーストラリアの国際線航空会社や、空港のグランドハンドリングサービスを提供する事業者がビジネスや雇用を維持できるよう助成金を提供する。

モリソン首相は「新型コロナウイルス感染拡大によって落ち込んだ経済活動の85%が既に回復したが、次のステップとして、依然厳しい状況にある企業や労働者、地域を支援していく」と述べた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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