シノファームの新型コロナワクチンの緊急使用を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年03月01日

アルゼンチンで2月22日、保健省決議688号/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公布され、中国シノファームの新型コロナワクチンの緊急使用が承認された。2月21日付の現地「国営通信テラム」によると、今週中(2月末まで)に100万回接種分がアルゼンチンに到着する。中国との合意内容の詳細は不明だが、2月4日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は、「中国側は3,000万回接種分の契約を条件」としており、ワクチン2回接種分の価格は、ロシア産ワクチン「スプートニクV」の2倍の「40ドル」と報じている。

アルゼンチンではこれまで、スプートニクVと、米国ファイザーの「コミナティ」、英国アストラゼネカの「ChAdOx1-S」、インド血清研究所の「コビシールド」(注)が承認されている。スプートニクVは約120万回接種分、コビシールドは58万回接種分が輸入され、2月21日時点で1回目の接種を終えたのが全国で45万6,929人、2回目の接種を終えたのが26万3,338人、合わせて72万267人となっている。

ブエノスアイレス市およびブエノスアイレス州では、医療関係者に続いて、高齢者へのワクチン接種が開始された。ただ、スプートニクVの生産が世界の需要に追い付かず、「ロシア国外での生産を検討している」とも報じられており、今後もアルゼンチンがロシア産ワクチンを入手できるかどうかは不明だ。

なお、2月18日に、ヒネス・ゴンサレス・ガルシア保健相(当時)が、知人らに優先的に新型コロナワクチンを接種させたことが明るみとなり、大きな騒ぎとなっている。アルベルト・フェルナンデス大統領は同相を解任し、翌19日にはカルラ・ビセッティ副大臣(当時)を保健相に任命した。その後も、ワクチンを優先的に接種したとされる政治家や労働組合関係者らの名前が次々と明らかになっており、政府は対応に追われている。

(注)コビシールドは、インド血清研究所がアストラゼネカとのライセンス契約に基づき生産する、アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチン。「ChAdOx1-S」と同じものだが、薬事登録上、別のものとして扱われている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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