米アップル、ミュンヘンに今後3年間で10億ユーロ以上投資

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年03月18日

米国のアップルは3月10日、ドイツ南部ミュンヘンの拠点の拡張と研究開発に、今後3年間で10億ユーロ以上を支出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

新たに拡張する拠点は、欧州最大の半導体とソフトウエアの開発拠点となる。第5世代移動通信システム(5G)やその他の次世代技術の研究も行う。2022年にミュンヘン市内に3万平方メートルの新社屋が完成予定だ。アップルによると、ミュンヘンは現在でも同社の欧州最大の研究開発拠点。約1,500人のエンジニアがパワーマネジメント・デザインやアプリケーションプロセッサー、無線技術などの研究を行っている。

アップルはもともと、1981年にミュンヘン拠点を設立した。2015年には「バイエルン州デザインセンター」を開設、同センターでは現在、350人以上のエンジニアが働く。同センターでは、2020年11月に発表された、卓越した処理性能と電力効率を持つ半導体「M1」を用いたiPhoneやiPad、スマートウォッチなど向けの半導体チップを設計している。

ミュンヘンがあるバイエルン州のマルクス・ズーダー州首相は3月10日、自身のツイッターで「これ(アップルの投資発表)は強力なシグナルだ。バイエルン州は最先端技術にとって最適な場所」とコメントした。同州は2019年に「ハイテク・アジェンダ」を発表、他国に負けない技術基盤を整備すべく、人工知能(AI)、量子コンピュータなどの次世代技術を振興している(2020年9月24日記事参照)。

ミュンヘンには、アップル以外にも、マイクロソフトやIBM、華為技術(ファーウェイ)、グーグルなどが拠点や研究施設を設立している。「フランクフルター・アルゲマイネ」紙(2021年3月11日)は、外資系企業がミュンヘンに投資する理由として、ミュンヘン大学やミュンヘン工科大学などが実用に即した研究を行っており、高度で実践的な専門性を持つ人材が豊富であることを挙げている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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