ロンアン国際港拡張へ、10万トン級の船舶を受け入れ

(ベトナム)

ホーチミン発

2021年03月08日

ベトナムの建設資材大手ドンタムグループは、南部ロンアン省ロンアン国際港の拡張工事に向け、必要な法的手続きを完了しつつあることを明らかにした。2月28日に国営ベトナム通信などが伝えた。同社は、新たに第8~第9の2つの埠頭(ふとう)を2023年に完成させる計画だ。9つの埠頭の全長は2,368メートルになり、10万トン級の船舶の受け入れができ、年間8,000万トン以上の貨物を取り扱うことが可能になる。

同港拡張工事の総建設事業費は9兆ドン(約414億円、1ドン=約0.0046円)で、工期は第1~第3期に分けられる。ベトナム政府ウェブニュース(2020年9月26日)によると、第1期として、3万~5万トン級の船が入港可能な3つの埠頭(全長630メートル)が2020年9月に完成し、運用を開始した。第2期として、現在、第4~第7の埠頭(7万トン級)を建設中で、完成すれば7埠頭で全長1,670メートルになる。現在手続きが進められている拡張工事は第3期に当たる。

また、同港によると、ガス・石油・液体輸送船舶用のターミナルを建設し、港湾の用途を多角化することも計画中。同港の面積は147ヘクタールで、隣接地域を含めた開発計画によれば、工業団地(952ヘクタール)、ロジスティクスサービスセンター(239ヘクタール)、宅地(206ヘクタール)なども整備される予定だ。

ロンアン省は、ベトナム南部メコンデルタ12省の中で、最もホーチミン市に近く、「メコンデルタの玄関口」と呼ばれる。ロンアン国際港は、ホーチミン市中心部から車で約1時間15分。ソアイラップ川に面する河川港で、南シナ海の入り江まで19キロの場所にある。

従来、メコンデルタの各省では、輸出入の際にホーチミン市のカトライ港が多く利用されているが、ロンアン国際港拡張の進展により、輸送の迅速化、コスト削減が期待されている。例えば、2021年1月には、メコンデルタのバクリュウ省における風力発電用タービンなどの超重量物を、ロンアン国際港で積み替える協力協定が関係事業者間で締結されるなど、同港を積極的に活用する動きがみられる(「トイチェオンラインニュース」1月22日)。

写真 ロンアン国際港の埠頭(1月15日、左:ホーチミン日本商工会議所提供、右:ジェトロ撮影)

ロンアン国際港の埠頭(1月15日、左:ホーチミン日本商工会議所提供、右:ジェトロ撮影)

(比良井慎司)

(ベトナム)

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