国家調整委員会を設置、新型コロナの統一的な政策を目指す

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年03月30日

ブラジル連邦政府は3月25日、新型コロナウイルス感染が急拡大していることを踏まえ、感染の抑制に向けた国家調整委員会を設置することを定めた政令10.659号を公布し、翌日施行した。

同委員会は、感染拡大により影響を受けている、国内経済、財政、社会、医療などの問題を解決するべく、統一された国家政策を打ち出すことを目的としている。毎週、開催される予定。ボルソナーロ大統領を中心に、上院議長、下院議長が主要メンバーとして位置付けられ、国家司法審議会(CNJ)の会長が指名する関係機関をオブザーバーとして招集する。また、保健省が事務局としての役割を担うほか、具体的な新型コロナウイルス対策を策定する作業部会も設置される。

3月24日付の上院議会の公式サイトによれば、当該作業部会には、大統領府、保健省、上院、下院の代表者や各州知事・市長らが参加することになっており、部会では、それぞれの意見を1つにまとめるための議論が行われる。現時点で重要なことは、「新型コロナワクチン接種を急速に実施する」と認識されているが、加えて、ICUの病床数拡大、医療用の酸素や医療関連資材などの不足解消、そして、ブラジル国民に向けた新型コロナワクチン接種の適切な方針策定などを、速やかにかつ強力に推し進めていく。

3月23日に保健相に就任したマルセロ・ケイロガ氏は、同委員会で技術的なリーダー役を担う。ケイロガ保健相は、24日付の上院議会の公式ウェブサイトで、「公的病院(SUS)における受け入れ態勢の強化」、および「2021年末までに5億回分の新型コロナワクチンを調達することに尽力する」と述べた。また、連邦最高裁判所(STF)は24日付の公式サイトで、司法は「実行される措置の正当性を評価する立場であり同委員会の参加者にはならない」と説明しながらも、「新型コロナ対策はスピード感が求められる。意思決定のスピード感を阻害するような司法化制度は見直す」と述べており、新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向け、より多くの関係者が一致団結する機運が高まっている。

(注)司法権を構成する機関の1つで、司法自体の運営面および財務面での機能状況を管理し、さらには判事の職務遂行状況を管理する。

(古木勇生)

(ブラジル)

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