三菱重工、メタンから水素と固体炭素取り出す革新的技術を持つ米国C-ZEROに出資

(米国)

ヒューストン発

2021年03月01日

三菱重工は2月10日、米国統括拠点である米国三菱重工を通じて、メタンから「革新的な熱触媒」を用い水素と固体炭素を取り出す革新的技術を持つ米国企業C-ZERO(本社:カリフォルニア州)への出資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

C-ZEROはメタンから「革新的な熱触媒」を用いて、水素製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない、いわゆる 「ターコイズ水素」(注)を製造できる技術を有しているのが特徴だ。

三菱重工グループが取り組むエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)事業における革新的代替技術の1つとして、C-ZEROの技術を水素バリューチェーンの強化・多様化につなげていくことを狙いとしている。

米国三菱重工の白岩良浩社長は今回の出資について「革新的な技術やソリューションを持つパートナーとの提携により、水素の生産から利用までを通したバリューチェーンの拡大に努めてきた。C-ZERO社の技術が低コストのターコイズ水素を提供するための選択肢になる日が来ると信じている」と述べている。三菱重工のほか、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏らが設立した米国のブレークスルーエナジーベンチャーズ、英国のAPベンチャーズらも出資に参画している。

脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギー由来の電力を利用した水電解技術で製造されるグリーン水素や、化石燃料の水蒸気改質プロセスにCCUS(CO2回収・利用・貯留)を組み合わせることで、CO2を排出しないブルー水素、天然ガスに含まれるメタンを熱触媒を用いて製造するターコイズ水素といった多様なクリーン水素製造技術が求められている。三菱重工はこうしたクリーンな水素の製造・供給に応えられる技術を積極的に取り入れていく考えだ。

三菱重工は2020年11月にも、メタンから「プラズマ熱分解方式」を用い、ターコイズ水素とカーボンブラックを製造できる革新的技術を持つ米国モノリス(本社:ネブラスカ州リンカーン)への出資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている(2020年12月2日記事参照)。

(注)水素の製造プロセスにおけるCO2排出量などの環境負荷度合いについて、カラーイメージで識別することが世界的に広まっており、グリーン、ターコイズ(トルコ石の青さの意)、ブルーなどがクリーン水素とされている。

(沖本憲司)

(米国)

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