連邦政府、新型コロナウイルス検査を無料化

(スイス)

ジュネーブ発

2021年03月08日

スイス連邦参事会(内閣)は3月5日、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限措置の緩和と並行して、新型コロナウイルス検査の無料化など、検査態勢を大幅に強化していくことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年末までに必要となる予算として、10億スイス・フラン(約1,160億円、CHF、1スイス・フラン=約116円)を見込んでいる。各州との協議後、連邦参事会は3月12日に正式決定する予定だ。

新型コロナウイルス感染の症状がなくとも即時に検査が受けられるようにするため、薬局やテストセンターでの検査を無料化する。連邦参事会はこれまで、症状がある者か無症状であっても、介護施設や学校関係者の検査費用については全額を補助していたが、今回、補助を全ての新型コロナウイルス検査に拡大し、3月15日から適用する。

企業や学校で検査を定期的実施

また、感染発生の早期検出を進めるためには、企業や学校で定期的に検査を行う必要があるとした。こうした集団検査で唾液サンプルをまとめて検査することにより、検査に必要な資材と時間を大幅に削減することできる。さらに、従業員に対し定期的に検査を実施する企業は、州政府の判断により、濃厚接触者となった従業員の自主隔離義務を免除することが可能となるとした。ただし、これらの定期的な集団検査への参加は任意としている。

新型コロナウイルス自己検査の拡大

連邦参事会は、各個人で検査を定期的に行えるよう、月5回まで自身で行う検査を無料で提供する意向だが、当該検査に関するデータはまだ十分ではないとの理由から、連邦保健局の認可はまだ得られていない。一方で、連邦参事会は大規模な検査態勢の危険性も指摘している。検査結果は瞬間的な状況を反映しているだけなこと、また、自己検査はPCR検査より信頼性が低いことから、これらの検査で陰性結果を得た者に誤った安心感を与え、軽率な行動につながることがあってはならないとし、マスク着用や社会的距離の確保が引き続き最も重要だとした。

(和田恭)

(スイス)

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