経済構造改革の進展で投資環境が改善、民間企業のビジネスも活発化

(ウズベキスタン、日本)

欧州ロシアCIS課

2021年03月23日

ウズベキスタンでは、シャフカト・ミルジヨエフ大統領の経済構造改革が進展している。新型コロナウイルス禍でも、2020年に1.6%の経済成長を遂げた。投資環境が改善し、民間企業の存在感が大きくなっている。日本企業の投資分野にも変化が出てきた。こういう状況を伝えるため、ジェトロはウズベキスタン投資貿易省と投資セミナーを共催した(3月15日)。

同省のラジズ・クドラトフ第1次官は「ミルジヨエフ大統領のリーダーシップの下、この4年間で構造改革が進展している。投資にかかわる許認可が非常に簡素化され、手続きのデジタル化も進んだ。汚職撲滅の取り組みも強化され、外国投資家の権利をしっかり守っている」とし、投資環境の改善を強調した。次官によると、外資系企業数は2017年の5,000社から2020年末に1万社になった。投資関連法や自由経済区(FEZ)に関する法律、税の優遇措置、投資家ビザも整備している。大規模な民営化も開始し、オープンで自由な貿易を目指してWTO加盟交渉も進めている。世界銀行のビジネス環境ランキングでも、2012年の166位から2020年には69位になった。

ジェトロ・タシケント事務所の髙橋淳所長は「構造改革下で民間ビジネスが活性化している。中小企業の数は2017年1月の21万社から2021年1月には48万社に増加した」と、クドラトフ第1次官の説明を補完。その上で「2019年1月の日本人向けビザ撤廃以降、日系企業のウズベキスタン投資が増加し、分野も多様化する様相を呈している」として、最近の2国間ビジネスの傾向を好感した。

日本企業の投資事例として、システムエンジニアを顧客企業に派遣し、顧客の要望に従ってシステムを開発するBeeanz(名古屋市)の内山勉代表取締役は「ウズベキスタンでは、ソフトウエアエンジニアを育成する学校を設立したが、そこでこのノウハウの全てを教えたい。ウズベキスタンは資源が豊富でポテンシャルも高いのに、その生かし方に悩んでいるようだ。私はIT技術を伝え、パソコン1個をインターネットにつなげれば、ビジネスができることを伝えたい」と説明した。

輸入車販売や飲食、不動産事業のバルコム(広島市)の山坂哲郎会長兼社長は「広島大学で学んだウズベキスタン人の運営する日本語学校と人材送り出し機関を手伝うため、2019年12月から毎月のように現地に行った」と、ウズベキスタンとのきっかけを紹介。現地でレストランの買収、肥料や殺虫剤の会社への出資のほか、「広島大学とタシケントのトリノ大学が教育センター設立に関する包括協定を締結したので、新型コロナウイルスが収束すれば、すぐに教育センターを設立し、ウズベキスタン人が日本で働くための勉強を開始したい」と、人材関連ビジネスへの意気込みを語った。

観光分野では、ホテル事業大手H.I.S.ホテルホールディングスがタシケントでホテル建設に着手した。同社の100%子会社エイチエイチエイチセントラルアジア(HHHCENTRALASIA)のウマルフ・マルフ社長は「ホテル建設を目的に2019年6月に当社が設立された。2020年3月にホテルの建設工事を開始。タシケント市の支援もあり、手続きは非常にスピーディーに進んだ。ウズベキスタンの伝統的な外見で5階建て140室のホテルを目下建設中で、年内の開業を目指している」と語った。

クドラトフ第1次官は視聴者からの新型コロナウイルスに関する質問に対して、「政府は感染を抑え込んでおり、他国に比べて状況は良い。これまでの累計感染者は8万人、新規感染者数は1日100人を下回っている。経済活動への規制も解除し、レストランや映画館も全てオープンしている。空港でもPCR検査の陰性証明を提出すれば隔離も必要ない。ワクチン接種はこの3月から始まっている」と説明。WTO加盟とPPP(官民パートナーシップ)案件については、「大統領がこの2年以内に実現させるという目標を掲げており、副首相がこの任に当たっている。交渉のプロセスを2020年に開始した。PPP案件としては、特に、エネルギー分野で中東企業を中心に発電所建設などの事例がある」と回答した。

写真 ウズベキスタン投資セミナー講師〔ウズベキスタン投資貿易省第1次官のラジズ・クドラトフ氏(上段左)、ジェトロ・タシケント事務所の高橋淳所長(上段中)、Beeanz代表取締役の内山勉氏(上段右)、バルコム代表取締役会長兼社長の山坂哲郎氏(下段左)、エイチエイチエイチセントラルアジア(HHHCENTRALASIA)代表取締役社長のウマルフ・マルフ氏(下段右)〕(ジェトロ撮影)

ウズベキスタン投資セミナー講師〔ウズベキスタン投資貿易省第1次官のラジズ・クドラトフ氏(上段左)、ジェトロ・タシケント事務所の高橋淳所長(上段中)、Beeanz代表取締役の内山勉氏(上段右)、バルコム代表取締役会長兼社長の山坂哲郎氏(下段左)、エイチエイチエイチセントラルアジア(HHHCENTRALASIA)代表取締役社長のウマルフ・マルフ氏(下段右)〕(ジェトロ撮影)

(今津恵保)

(ウズベキスタン、日本)

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