チリ発の銅含有塗料が注目集める

(チリ)

サンティアゴ発

2021年02月17日

チリ企業のピントゥラス・パノラミカ(PINTURAS PANORAMICA)が、チリの主要な輸出品目である銅の除菌・殺菌作用を塗料へ応用したことで、注目を集めている(「エル・メルクリオ」紙2月15日)。

南部のラ・アラウカニア州に本拠を構える同社は、2017年から他機関との協業による研究開発を本格的に開始し、銅のナノ粒子を含有する塗料の開発に成功した。2020年には、新型コロナウイルスに対する有効性が認められた塗料を製品化し、オンラインでの販売チャネルの利用とSNSを通じた広告宣伝により、大きく売り上げを伸ばした。

同社製品は「バクテリアやウイルス、菌類を99.9%除去する」をうたい文句に、現状では用途別に3つのタイプを販売している。国内のみならず周辺諸国からも注目を集めたことで、2020年末には米国、ペルーの2カ国へ向けた初出荷が実現した。ほかにも、メキシコやスペイン、ドイツといった国々の市場参入を目下検討している。

「エル・メルクリオ」紙のインタビューで、創設者兼CEO(最高経営責任者)のパオロ・チャパロ氏は以下のように将来展望を語った。

  • 現在の売り上げ全体の5%程度を占めている輸出による販売比率を今後5年間で20~30%程度まで高める。
  • 現在の売り上げ全体の20%程度を占めている消費者向けの小売りの比率を、ホームセンターチェーンのイージー(Easy)などの大手企業との連携により、40%程度まで高める。
  • 製造工場のオートメーションを進めるため、約2億ペソ(約3,000万円、1ペソ=約0.15円)規模の設備投資を実行する。

また、特にペルーについては、国内の建設業が今後大きく成長し得る市場としても注目しており、現地での自社店舗の開業についても視野に入れていると述べた。

(佐藤竣平)

(チリ)

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