2020年の実質GDP成長率はマイナス3.1%

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年02月12日

連邦国家統計局は2月1日、ロシアの2020年の実質GDP成長率をマイナス3.1%(速報値)と発表した。世界的な金融危機が発生した2009年以降で最大の落ち込み幅を記録した。

産業別にみると、鉱業(前年比10.2%減)、運輸(10.3%減)、小売り・卸売り(2.9%減)、ホテル・外食(24.1%減)といった分野の落ち込みが主な引き下げ要因になった(添付資料表1参照)。OPEC+での協調減産や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のために導入された経済活動制限措置が背景にある。

需要面では、世界的なエネルギー需要の低下により、輸出が前年比5.1%減と大幅減になったほか、国内需要の減少を受けた民間最終消費支出の縮小(8.6%減)がGDP成長率の下落につながった(添付資料表2参照)。一方で、政府最終消費支出はCOVID-19感染防止対策にかかる社会保障費や補助金などの支出拡大を背景に4.0%増となり、落ち込みを和らげる要素になった。

経済発展省のポリーナ・クリュチュコバ次官は「ロシアは多くの主要国と比較して経済の落ち込みが緩やかだ。ただし、速報値では計上されていない指標を追加した上で再算出を行った場合、GDP成長率が変化する可能性がある」と述べた(主要ビジネス紙「RBK」2月1日)。

2021年の実質GDP成長率の予測について、ロシア中央銀行はプラス3.0~4.0%、IMFはプラス3.0%、世界銀行はプラス2.6%と想定している。いずれも、国内需要の回復や新型コロナワクチンの大規模接種を背景に、経済活動の復旧が見込まれることを要因として挙げている。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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