2020年のGDPはマイナス6.1%、2021年見通しも下方修正
(タイ)
バンコク発
2021年02月17日
タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は2月15日、2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比マイナス4.2%だったと公表した。前期(同マイナス6.4%)に引き続きマイナス成長、また、四半期のマイナス成長は4四半期連続となったが、前期からは改善した。
需要項目別でみると、個人消費支出は0.9%増となり、前期(同0.6%減)から増加に転じた。政府が実施した消費喚起策が増加に寄与した。内訳は、サービス支出が7.5%増、中でも特に、健康・教育サービス消費が増加する一方、宿泊・飲食サービス支出は58.7%減と減速した。政府消費支出は1.9%増と、前期(同2.5%増)に引き続き拡大した。この四半期の予算執行額は全体の28.6%で、前期(同22.8%)を上回った。
総固定資本形成は2.5%減と前期(同2.6%減)と、わずかながらも収縮幅が縮小。民間投資が3.3%減で、前期(同10.6%減)から改善。政府投資は0.6%増と、前期(同17.6%増)から鈍化した。この四半期の投資予算執行率は11.2%で、前年同期(同4.7%)を上回った。
物品輸出額は1.5%減と、前期(同8.2%減)から減少幅は縮小。天然ゴム(25.4%増)やタピオカ製品(30.2%増)などが増加したものの、砂糖(67.4%減)、コンピュータ部品(11.4%減)、ピックアップトラックとトラック(10.9%減)などが減少した。
NESDCはまた、2020年通年のGDP成長率も公表し、マイナス6.1%と、前年(同プラス2.3%)から減速した。通年でのマイナス成長は2009年以来となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響から国内外の景気が減速したことにより、特に物品・サービス輸出、民間投資、民間消費が落ち込んだ。
NESDCは、2021年の実質GDP成長率見通しについて2.5%~3.5%とし、2020年11月時の予測(3.5%~4.5%)から下方修正した。世界経済と貿易量の回復、政府支出の増加、国内民間需要の回復、前年が低水準だったことからの反動などがプラス要因となる一方、新型コロナウイルスの感染拡大などの不確実性も指摘した。
(岡本泰)
(タイ)
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