アルゼンチン、インド血清研究所の新型コロナワクチン緊急使用を承認
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年02月12日
アルゼンチン政府は2月9日、保健省決議627号/2021号を公布し、英国オックスフォード大学と英アストラゼネカの協力を得てインド血清研究所が製造した新型コロナウイルスワクチン「コビシールド」の緊急使用を承認した。
アルゼンチンはこれまでに、ロシア産ワクチン「スプートニクV」と、米国ファイザー「コミナティ(COMIRNATY)」、英アストラゼネカ「ChAdOx1-S」の緊急使用を承認しているが、実際に国内で接種しているのはスプートニクVのみだ。
同日付の現地紙「国営通信テラム」(電子版)によると、アルゼンチンはアストラゼネカのワクチンを評価・承認済みで、オックスフォード大、アストラゼネカからインド血清研究所への技術移転による品質と安全、効果への懸念はないとしている。同紙によると、政府は1カ月に450万人に接種を行うことを目指し、今後、スプートニクVを3,000万回分、アストラゼネカ製ワクチンを2,200万回分、世界保健機関(WHO)の「COVAXファシリティー」を通じて220万回分のワクチン入手を目指す。ファイザー製ワクチンは入手のめどが立っていない。
2月9日までに33万7,553人がスプートニクVの1回目の接種を終え、そのうち19万6,543人が2回目の接種を終えている。ただ、ロシアでワクチン生産に遅れが生じており、アルゼンチンでは現在、計画していたワクチンを十分に確保できていない。10日付の現地紙「クラリン」(電子版)によると、これまでにアルゼンチンが入手したスプートニクVは82万回接種分にとどまっている。
政府が12月23日に公表した「新型コロナワクチン接種戦略計画」では、1.医療従事者(対象76万3,000人)、2.老人介護施設の高齢者と70歳以上の高齢者、3.60歳以上の高齢者(2.と3.で737万5,000人)、4.国防・治安対策従事者(50万人)、5.基礎疾患のある18~59歳(565万3,000人)、6.教育関係者(130万人)、7.その他の順にワクチン接種を行うとしていたが、ブエノスアイレス市では2月17日から、全国では3月から、学校で対面授業を再開することから、教育関係者への接種を急ぐ動きもみられる。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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