2020年の貿易額は1,000億ドル割れ、2009年以来の低水準に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年02月08日

国家統計センサス局(INDEC)が1月26日に発表した貿易統計によると、アルゼンチンの2020年の輸出額は前年比15.7%減の548億8,400万ドル、輸入は13.8%減の423億5,600万ドル、貿易収支は125億2,800万ドルの黒字となった。輸出額と輸入額を合わせた貿易額は14.8%減の972億4,000万ドルと、2009年以来初めて1,000億ドルを下回った。

単月では、2020年12月は2018年8月以来の貿易赤字になった(添付資料図参照)。2020年9月以降、貿易黒字は縮小傾向にあったが、11月、12月は輸入が前年同月比20%を超える増加を記録した。

2020年通年の品目別輸出額をみると、農畜産物加工品の食物油脂を除く全ての品目が前年比でマイナスとなった(添付資料表1参照)。増減寄与度をみると、輸出額全体を特に押し下げたのは陸上用輸送機械(自動車)と食品産業残留物(大豆ミール)、金属製品、化学製品だ。

同様に品目別輸入額も、中間財の産業用基礎食糧・飲料、消費財の家庭用基礎飲食料品、非産業用輸送機器、その他を除く品目が前年比でマイナスとなった。輸入額全体を特に押し下げたのは資本財、資本財部品、燃料・潤滑油関連品となっている。

2020年通年の仕向け地別輸出額をみると、最大の貿易相手国であるブラジル向けは前年比23.4%減、ブラジルに次ぐ貿易相手国の中国向けが23.5%減と2桁のマイナスになった(添付資料表2参照)。また、輸入もそれぞれ14.3%減、6.5%減となった。対日貿易額は、輸出が30.0%減、輸入が19.1%減と大幅に減少した。

1月26日付の現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は、2020年第4四半期の輸出額の減少は搾油業者によるストライキの影響が大きく、「これがなければ12月単月の貿易収支は黒字だった」との識者の見方を伝えている。また、公定レートと並行レートの乖離幅の大きさによる公定レートの下落観測とそれによる輸出控えも要因としている。11月から12月にかけての為替レートをみると、公定レートは1ドル=85~90ペソ、非公式の並行レートは166~168ドルと乖離幅は大きい。また、年後半の輸入の増加は、割高な公定レートと、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、年前半に資本財や中間財の輸入が減少した反動があったとしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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