カタルーニャ州議会選挙、独立派が過半数を維持

(スペイン)

マドリード発

2021年02月17日

スペインのカタルーニャ州議会選挙(議席数135)が2月14日に実施された。新型コロナウイルスの感染不安が強い中、投票率は53.5%と低迷。スペインからの州独立機運の高まりで過去最高となった前回の投票率から25.6ポイント低下した。

独立反対票の受け皿は市民党から国政与党へ

独立派では、左派のカタルーニャ共和左派(ERC)が33議席、中道右派のカタルーニャ連合(JxC)が32議席、急進左派の「民衆団結代表の党」(CUP)が9議席を獲得し、合計74議席と過半数の68を上回った。独立派政党は州内の地方部の固定票が多いため、得票率の合計は48.0%と半分を割り込んだ。JxCは、違法とされた2017年の独立宣言後に国外脱出したカルラス・プチデモン元州首相が党首を務めている。

第1党は国政与党・社会労働党(PSOE)系のカタルーニャ社会党(PSC)で、得票率23.0%を集め、33議席と前回から議席がほぼ倍増した(添付資料表参照)。同党は州首相候補(比例名簿1位)として、選挙直前まで新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を取ってきたサルバドール・イリャ前保健相を抜てきしたことなどが奏功し、前回第1党だった中道右派・市民党(C's)から相当の票が流れ込んだ。C'sは2019年の総選挙で敗北して以降、独立反対派の旗印としての求心力を失い、議席を6分の1に減らして第7党に転落した。

今回は、極右新興政党のボクス(Vox)が初めて議席を獲得したことも注目された。同党は2019年11月の総選挙でも第3党に躍進しており、C'sや国政最大野党・民衆党(PP)が持っていた右派票の受け皿となって11議席を獲得し、第4党に浮上した。

独立派第1党は対話路線に変更

今回はわずか1議席ながらJxCを上回ったERCが他の独立派政党やポデモスの閣内外協力を得て政権を樹立する可能性が高いとされている。しかし、独立派は一枚岩ではなく、政権運営には引き続き困難が伴うとみられる。

中央政府に対するERCとJxCのスタンスにも大きな違いがある。JxCは今も一方的な独立を掲げ、国政与党のペドロ・サンチェスPSOE政権の政策にも非協力的だ。一方、ERCは下院でキャスティングボートを握り、同じ左派のサンチェス政権の発足や予算案などの重要場面で協力しつつ、カタルーニャに有利な譲歩を引き出すという対話重視の現実路線に転じている。独立についても、現在は住民投票の合法的実施を通じて州民の広い支持を得ることが必要と考えている。

独立問題が今後再燃する可能性は排除できないが、新型コロナウイルスの収束や州経済復興が急務とされる中、国政との関係も含めてERCの対話姿勢は一定の安定感をもたらしている。新政権は最短の場合、3月下旬に発足する。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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