1月の製造業購買担当者指数(PMI)は大幅改善、過去25カ月で最高値

(フィリピン)

マニラ発

2021年02月05日

英国の調査会社IHSマークイットは2月1日、フィリピンの1月の製造業購買担当者指数(PMI、注)を52.5と発表した。前月12月の49.2より改善し、4カ月ぶりに景気拡大の基準となる50.0を上回った。PMIは、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年2月(52.3)を上回り、過去25カ月で最も高くなった。IHSマークイットによると、消費者の需要が改善したことで生産量や新規受注の増加につながった。また、企業は数カ月にわたって需要の拡大が続くとみて出荷増に対応するため、購買活動や在庫の積み上げを進めていると分析する。

一方で、コスト削減の一環として人員削減の動きがみられる。受注残の水準が低下しており、生産能力が余剰になっていると指摘している。サプライチェーンに関しては、港の混雑や新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動制限によって、物品の配送に遅滞が生じている。また、原材料の価格が1月に上昇しており、悪天候も相まって、コスト上昇圧力が発生している。企業は、コストが増加した分を部分的に製品価格に転嫁していると指摘する。IHSマークイットは、感染防止を目的とした活動制限が緩和されていることもあり、景況感について楽観的な見通しをしつつも、人員削減やコスト増加がみられることから、市場は依然として脆弱(ぜいじゃく)と説明した。

フィリピン貿易産業省(DTI)のラモン・ロペス大臣は2月1日、1月のPMI発表を受けて「製造業の回復が進んでいることが明らか」とコメントした。その上で、新型コロナウイルス感染拡大防止のために最低限の措置は取りつつも、経済活動の再開を進めていくことが重要との見解を示した。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(吉田暁彦)

(フィリピン)

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