駐ミャンマー中国大使、国軍による権力掌握の事前通知を否定

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2021年02月19日

在ミャンマー中国大使館前では連日、学生らを中心に中国政府の国軍への関与の停止などを求める抗議デモが行われている。ミャンマーでは、ソーシャル・メディア(SNS)などを通じて、国軍による権力掌握の背後に、中国政府が関与しているとのうわさが広がっている。こうしたうわさの背景の1つに、これまでの軍と中国の協力関係に加え、1月10日から11日にかけて、王毅国務委員兼外交部長がミャンマーを公式訪問し、アウンサンスーチー(以下、スーチー)氏のほか、ミンアウンライン国軍司令官と面会したことがある。

そうした中、陳海駐ミャンマー中国大使は2月15日、現地メディアのインタビューに応じた。公開されたインタビュー内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、陳大使は、今のミャンマー情勢は中国が望むようなものではないとし、中国が今回の国軍による権力掌握を事前に承知していたことを否定した。スーチー氏らの早期解放を求めた国連安全保障理事会の報道声明については、「中国を含む国際社会の共通の立場を示している」との見解を述べ、事態の沈静化を促した。現地メディアの質問によれば、「ミャンマーの市街に中国兵が現れた」「中国がインターネットのファイヤー・ウォールを構築している」といったうわさがあるが、同大使はこうしたうわさも完全に否定した。

現況の中国とミャンマーの関係について、陳大使は、ミャンマーの政情の変化は内政問題としながらも、隣国である中国にも、国境貿易や新型コロナウイルス対策などの面で、影響を及ぼすとした。また、スーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)は、中国と良好な関係を築いており、中国ミャンマー経済回廊や他の共同プロジェクトの推進で合意していることなどを挙げ、国軍、NLD両者と良好な関係を構築していることを強調した。

なお、2月18日午前9時現在、中国大使館前での抗議デモは、数十人のデモ参加者がいるものの、沈静化している。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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