2020年の実質GDP成長率、マイナス2.07%に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年02月15日

インドネシア中央統計庁(BPS)は2月5日、2020年のGDP成長率をマイナス2.07%と発表した。通年でのマイナス成長は、アジア通貨危機直後の1998年以来初めてとなる。併せて、2020年第4四半期(10~12月)のGDP成長率を前年同期比マイナス2.19%と発表した。3四半期連続でマイナス成長となったものの、前期比ではマイナス幅が縮小した(添付資料図参照)。

2020年通年の支出面のGDP成長率は、公的支出(1.94%)を除く全ての項目で前年比マイナス成長となった。GDPの約6割を占める消費はマイナス2.63%だった。産業別では、「新型コロナ禍」で人の往来や社会活動が制限されたことにより、運輸・倉庫(マイナス15.04%)と宿泊施設・飲食店(マイナス10.22%)が大きなマイナス成長となった一方、医療サービス・社会保障(11.60%)、情報・通信(10.58%)が2桁のプラス成長となった。

第4四半期の支出面のGDP成長率も、公的支出(1.76%増)を除く全ての項目で前年同期比マイナス成長となった。産業別でも、医療サービス・社会保障が2桁の成長となり、運輸・倉庫(マイナス13.42%)と宿泊施設・飲食(マイナス8.88%)が大きく影響を受けた。

地域別では、マルク・パプアとスラウェシだけがプラス成長を記録した。GDPの約6割を占めるジャワ島がマイナス2.51%、首都ジャカルタのGDP成長率はマイナス2.36%だった。

今回の報告書によると、1人当たりGDPは3,911.7ドルに低下した。BPSのスハリヤント長官はその理由について「GDP成長率がマイナスとなったことに加え、2020年国勢調査の結果、人口が2億7,020万人に増加したため」としている。

BPSの発表を受け、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は2月5日、2021年の経済成長目標を4.5~5.5%、2021年第1四半期(1~3月)は1.6~2.1%と予測し、「この目標を達成するため、社会保障プログラムの継続と、個人購買力・消費の向上、投資の増加に関する政策を遂行していく」とした(「ファイナンス・デティク」紙2月5日)。

(デシー・トリスナワティ、尾崎航)

(インドネシア)

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