DMM傘下シント=トロイデンのCFOに聞くeスポーツ参戦の狙い

(ベルギー)

ブリュッセル発

2021年02月19日

サッカー・ベルギー1部リーグに所属し、DMM.comが出資するシント=トロイデンVV(STVV)は、eスポーツ(注)大会の「Proximus ePro League」に2020/2021シーズンから参戦している。同大会はベルギーのプロリーグ「ジュピラー・プロ・リーグ」が3年前に立ち上げたもので、米国エレクトロニック・アーツが提供するサッカーゲーム「FIFA21」を使用し、プロeスポーツ選手18人が総当たり方式で対戦する。STVVの最高財務責任者(CFO)である飯塚晃央氏は2月18日、ジェトロのインタビューに応じ、その狙いを説明した。

クラブにとっての新たなビジネスチャンス

「新型コロナ危機」において、サッカーを含む欧州のプロスポーツは、無観客試合などによる収入減などに直面している。こうした状況下で、STVVが新たにeスポーツに参画することについて、飯塚氏は「新型コロナウイルス感染症の影響によりデジタル領域でのビジネスが加速している中、サッカークラブとしても新たなビジネスの可能性として、eスポーツの分野に取り組むことはチャンスと捉えている」と語った。また、今後の見通しについては、「まずは大会や競技に継続して参加できる体制を構築し、eスポーツを活用した企画を実施していきたい。eスポーツは若年層のファンが多く、STVVとして新たな『ファンベース』へのリーチを期待できる。スポンサーアクティベーション(スポンサーシップによる権利の活用)として、今後さまざまな企画をパートナー企業へ提案していけるのではないか」と述べた。

「Proximus ePro League」には、プロeスポーツ選手であるゼイロー選手(本名:エリアス・ブレイ、以下、ゼイロー)がSTVVのクラブ推薦選手として参加しており、同選手が所属するNETGEN ESPORTSとコラボレーションし、STVVが選手マネジメントやビジネスプロモーションを実施していくとしている。2月16日には、ゼイロー選手のインタビューが公開され、「STVVを代表して、Proximus ePro Leagueに参加できて光栄だ。昨シーズンより良い成績を残したいと思う」と意気込みを語っている。ゼイロー選手は、前年度の同大会ではアマチュア枠で参加し、リーグ戦を無敗優勝した実力の持ち主で、2月18日時点のランキング外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは2位に位置し、好調を維持している。

写真 ゼイロー選手(STVV代表/NETGEN ESPORTS所属)(STVV提供)

ゼイロー選手(STVV代表/NETGEN ESPORTS所属)(STVV提供)

(注)「エレクトロニック・スポーツ」の略。広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉で、コンピュータゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称(一般社団法人日本eスポーツ連合ウェブサイトより)。

(仁平孝明)

(ベルギー)

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