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下院が電力産業法改正法案を可決、経済界からは強い懸念

(メキシコ)

メキシコ発

2021年02月25日

メキシコで2月24日未明、政府が国会に提出していた電力産業法改正法案(2021年2月3日記事参照)が連邦下院を通過し、上院に送付された。全ての野党に加え、2018年選挙時には与党連合を形成していた緑の環境党の議員が反対票を投じたが、連立与党を形成する国家再生運動(Morena)、労働党(PT)、社会結集党(PES)の議員が賛成票を投じ、賛成304、反対179、棄権4の賛成多数で可決された。結果的に、行政府が提出した法案には一切修正が加えられなかった。本法案は行政府が指定する優先法案であるため、上院でも1カ月以内に審議を終える必要がある。

法案の下院通過を受け、メキシコ経営者連合会(COPARMEX)は2月24日付でプレスリリースを出し、強い懸念を表明した。特に、2月11~12日に開催された同法案に関するオンライン公聴会の議論の中で、同改正により民間部門が発電する安価な電力の利用が制限され、結果的に電力コストが高騰することなどについて、技術的・経済的根拠に基づく多数の見解が出されたにもかかわらず、議会審議で一切考慮されなかったことに対して、強い遺憾の意を表明している。憲法が定める自由競争の原則に反するだけでなく、民間再生可能エネルギー発電事業者を不利な立場に追い込むことで、国民の環境と健康に関する権利も侵害するとしており、さらに、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)など国際協定に違反するとの声も無視したかたちとなっているため、施行初日から訴訟の嵐を巻き起こすことになるだろうとしている。この問題については、イデオロギーではなく技術的側面から決定がされるべきだとし、上院に対して、下院から送付された法案を修正することを求めている。

メキシコに対する投資家の信頼を失墜させる措置

同法案は、電力庁(CFE)の発電所を優遇することによる、憲法が保障する自由競争の阻害、法律の遡及(そきゅう)適用(過去に結ばれた契約や既に付与された許認可の取消を可能にする)など、メキシコの法的安定性に対する信頼を失墜させると指摘する声が多い。グローバル企業経営者審議会(CEEG)や全国製造業会議所(CANACINTRA)は、法案成立が(電力価格の上昇を通じて)メキシコの競争力に深刻な打撃を与えるだけでなく、メキシコへの投資を検討する企業に大きな不安を抱かせることにつながると警鐘を鳴らす(「エル・エコノミスタ」紙2月24日)。

2021年6月6日には中間選挙(下院500議席の改選と15州の州知事選挙)が行われるが、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の6割を超える高い支持率と比較すると、与党MORENAに対する支持率は約4割にとどまっており、連立与党の合計でも下院で過半数を確保できるかが微妙な状況だ。下院を通過した法案に上院が修正を加えることは多いが、法案修正には過半数を占める連立与党の協力が必要となる。国民の支持が高い大統領の意向に背いてまで、与党の議員が積極的な修正に応じるとは考えにくいとみられる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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