ムンバイ市近郊鉄道、一部運行を再開

(インド)

ムンバイ発

2021年02月05日

インドのマハーラーシュトラ州政府は1月29日、ムンバイ近郊鉄道(Mumbai Suburban Railway)の運行に関する通達を発出し(添付資料参照)、時間帯の制限はあるものの、2月1日からの一般市民の利用を許可した。これまでは新型コロナウイルス対策として、同鉄道の利用は公務員などのエッセンシャル・サービス従事者や女性のみ認められていた。

一般市民の利用を今回認めた時間帯は、始発から午前7時まで、正午から午後4時まで、午後9時から終電までで、それ以外の時間帯はこれまでどおり利用できない。ムンバイ近郊鉄道はムンバイ市郊外と市街地を結ぶ複数路線で通勤の大動脈となっている。これまでバスやメトロの運行再開は認められていたものの、多くの市民の通勤手段となっている近郊鉄道の利用が制限されていたため、市民に大きな影響が出ていた。今回の一部時間帯の利用許可は正常化に向けた一歩だが、実際には通勤ラッシュ時以外の時間帯での通勤は現実的ではなく、緩和効果は限られたものとなるだろう。

また、今回の通達では、民間事業所などは上限30%の従業員出社規制があらためて明示され、民間企業に対する規制は緩和されなかった。これに対して、在ムンバイ日系企業では引き続き、ロックダウン期間中は在宅勤務を基本としている。併せて、出社が必要なスタッフは感染防止の観点などから、社用車で送迎するなど代替手段を講じている。

ムンバイ市のアクティブ感染者数(現に感染状態が確認されている人数)は漸減しており、1月26日には6,000人を下回った。商店や飲食店もおおむね営業を再開しており、生活環境は新型コロナ前にほぼ復したといえる。しかし、駐在員も利用する人気レストランが閉店するなど経営困難な事業者が少なくなく、ロックダウンの影響の大きさがうかがえる。

(比佐建二郎)

(インド)

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