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欧州委、新型コロナワクチン輸出の許可制度を導入

(EU)

ブリュッセル発

2021年02月01日

欧州委員会は1月29日、新型コロナウイルス対策ワクチンのEU域外への輸出に対し、許可制度を導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委が事前購入合意を締結した製薬会社のワクチンをEU加盟国から輸出する場合に限り、加盟国に通知を行い、許可を得なければならない。通知を受けた加盟国は、対象となるワクチンの輸出が、事前購入合意に基づくEUへのワクチン供給を妨げないと判断する場合にのみ、欧州委の意見に基づいて許可を出す。許可が得られない場合、ワクチンの輸出は禁止される。同制度は、欧州委の権限で導入する実施規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)として1月30日に適用開始され、3月31日までの時限的な措置となる。

製薬会社による供給遅れの見込みに危機感

欧州委は、許可制度導入の目的を「ワクチンのEU市民への速やかなアクセスを確保し、現在の不透明なEU域外への輸出に対処する」ことと説明した。事前購入合意を締結した製薬会社が相次いで供給の遅れを発表し、欧州委は危機感を強めている。英国のアストラゼネカは1月22日に欧州委に対し、ベルギーの製造工場での問題のため、第1四半期のワクチン供給量が予定より遅れると通告。ドイツのビオンテックと米国ファイザーも15日に、EU加盟国を含む欧州諸国への供給に遅れが生じると発表している。こうした状況を受けて、欧州委のステラ・キリヤキデス委員(保健衛生担当)は25日に声明を発表、事前購入合意の速やか、かつ完全な履行と透明性の確保を求めていた。

許可制度の対象からは、国際的なワクチン開発・供給枠組みCOVAXの受益国である低・中所得国や、多くのEU周辺国への輸出は除外された。欧州委は、今回の制度が人道面に配慮し、また「WTOルールに整合的な措置」だとして正当性を主張した。制度の対象となる米国や英国をはじめ他の国々もそれぞれ事前購入合意を締結しているが、欧州委は、これら第三国の合意にも「留意する」としつつ、あくまで製薬会社に合意内容を順守する義務があると強調した。

他方、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は欧州委の発表を前に1月28日、許可制度がワクチンの普及を妨げる恐れがあるとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。さらに、同制度の導入に対して他の地域が報復的な措置をとる可能性を懸念しているとした。

なお、1月29日には欧州医薬品庁(EMA)の承認勧告を受け、欧州委はアストラゼネカのワクチンの条件付き販売を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EUでのワクチン承認は、ビオンテック・ファイザー、米国のモデルナに続き3件目となる。

(安田啓)

(EU)

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