ASEAN産業界、「新型コロナ禍」からの立て直しを優先

(ASEAN、ブルネイ)

ジャカルタ発

2021年02月08日

2月2日に、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)と各国協議会との合同会議(JBC)がオンラインで開催され、2021年のASEAN議長国であるブルネイのASEAN‐BAC議長から2021年の活動方針が説明されたほか、各国協議会からのASEANに対する働き掛けの現状や要望事項などについて情報共有が行われた。

コロナ禍のダメージからの立て直しを優先

ブルネイASEAN‐BACの議長を務めるヤンティ・ラフマン氏は、ASEAN‐BACとしての2021年の活動テーマ「Recover. Stronger. Together. Sama-Sama.」を発表し、「新型コロナ禍」によるダメージからの立て直し、および経済の強靭(きょうじん)化を目指すとした。具体的なアクションとして、ヘルスケア分野においては、デジタルを活用し、ASEAN域内の医療従事者や関連インフラの機能強化を行う。さらに、官民で連携し、新型コロナウイルスワクチンの確保をスムーズに行うことも盛り込んだ。また、ブルネイが主導して実施するレガシープロジェクトとして、ASEAN域内におけるデジタル人材の需給ギャップ是正も掲げている(2020年12月7日記事参照)。

貿易円滑化の分野では、非関税措置(NTM)の削減を目標に掲げた。具体的なアプローチ手法として、各国で発生しているNTM関連のトラブルをまとめたPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注2)を基に、ASEAN加盟国に働き掛けを行うとした。また、各国への認定事業者(AEO)制度の導入の加速化、ASEANシングルウインドウにおける植物検疫に係る電子検疫システム(e-Phyto)の実証実験など、輸出入通関に関するアクションも盛り込まれている。

JBCは2020年、ASEAN‐BACと共同で、「新型コロナ禍」からの経済回復の道筋を示した提言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を作成し、ASEAN首脳へ提出している。ASEAN-BACの活動内容は、本提言を一部踏まえたものとなっている。

写真 オンライン会合の様子(ジェトロ撮影)

オンライン会合の様子(ジェトロ撮影)

(注1)ASEAN-BACは、ASEAN各首脳が指名した産業界の代表からなる組織で、ASEAN首脳会合や経済担当相との対話の場で政策提言を行う。

(注2)ASEAN事務局が取りまとめを行い、具体的なNTMの内容や、対応を担当する組織名などが記載されている。ASEAN事務局ウェブサイトのASEAN物品貿易協定(ATIGA)に関するページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて同表の最新版を確認できる。

(上野渉)

(ASEAN、ブルネイ)

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