世界の2020年第3四半期サービス貿易、回復は限定的

(世界)

国際経済課

2021年01月29日

WTOは1月26日、2020年第3四半期(7~9月)のサービス貿易額(輸出入平均)の伸び率は前年同期比24%減(注1)だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。第2四半期(4~6月)の同30%減から減少幅は縮小したものの、財貿易額(第2四半期・同21%減→第3四半期・同5%減)ほどの力強い回復は見られなかった(注2)。旅行や関連サービスが世界各国で規制され、回復の見通しは依然として不十分だ。WTOは、消費者がサービスに向けられない支出を財(商品)にシフトする傾向を指摘している。

項目別にみると、第2四半期に引き続き、「旅行」の減少が顕著に見られる。「旅行」(国際観光支出)は、欧州などでの夏季シーズンの観光に対する緩和措置により上向きに転じたものの、前年同期比68%減と回復は限定的だった。海外旅行者の旅行先での支出は、中南米・カリブで88%減少、アジアとアフリカでも80%減少と、厳しい状況が続いている。

その他の項目については、「建設」(前年同期比16%減)や「音響映像・芸術・娯楽サービス」(同14%減)などで2桁の落ち込みが続く。一方、プラスに転じたのは、「コンピュータサービス」で同9%増となった。新型コロナウイルスのパンデミック下での新たな生活様式に対応するクラウドサービスやプラットフォーム、仮想ワークプレースに対する世界的な需要の高まりによるものとみられる。そのほか、「法務、管理、会計および広告サービス」「金融サービス」「保険サービス」については、わずかながら増加した。

地域別にみると、輸出ベースでは北米が前年同期比29%減、アジアが同26%減、欧州は同18%減だった。

(注1)発表資料では小数点以下の表記がない。以下同様。

(注2)財貿易の最新データはこちら外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(伊尾木智子)

(世界)

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