EU、トルコの熱間圧延鋼にアンチダンピング関税を導入

(EU、トルコ)

イスタンブール発

2021年01月18日

EUの1月7日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、欧州委員会はトルコからの熱間圧延鋼の輸入に対し、6カ月間の臨時措置として、4.8~7.6%のアンチダンピング関税を課すことを決定した。本措置は1月8日に発効となった。本アンチダンピング関税(添付資料表1、2参照)は、当面6カ月間の時限措置となっているが、アンチダンピング調査は継続され、6カ月後に最終判断が発表される予定だ。

欧州委員会は、2020年3月31日に欧州鉄鋼連盟(EUROFER)加盟企業の25%以上がアンチダンピング調査を求めたことで、同年5月14日から調査を行っていた。背景には、EUが中国とブラジルからの輸入に対して緊急輸入制限(セーフガード)措置を実施した影響で、2019年の欧州の鉄鋼需要が2016年に比べて4%減少したにもかかわらず、EU市場におけるトルコ企業のシェアが2.8%から8.1%に上昇したことに対して、EUの関連企業から不満が出ていたためと指摘されている。また、トルコからの鉄鋼輸出価格は上昇したものの、なおEUでの生産価格を下回っている。

トルコ国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1月7日)によると、トルコ鉄鋼製造社協会(TCUD)のべイセル・ヤヤン会長は、同措置について「アンチダンピング調査の法的な手続きは6月までに続き、6月中に最終的な税率が発表されるだろう」と述べた。同記事によると、ハバシュ工業ガス・医療用ガスが4.8%、エルデミル・グループが5.4%、ボルチェリッキ鉄鋼とアウル・ローラーが5.9%、チョラクオウル金属加工とその他の企業が7.6%のアンチダンピング関税措置の対象になる。ウウール・ダルベレルTCUD副会長は「鉄鋼セクターの利益率は高くなく、この措置の影響でトルコ企業が欧州市場で競争できなくなる」と、ロイター通信(1月7日)に述べている。

他方、トルコ貿易省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、TCUDからの申請を受け、EUと韓国から輸入される熱間圧延鋼に対するアンチダンピング調査を開始した(添付資料表3参照)。トルコ統計機構(TUIK)によると、調査対象となる品目の韓国からの輸入額は、2019年が3,645万ドル、2020年1~11月は1億1,367万ドル、EUからの輸入は2019年が9億6,627万ドル、2020年1~11月は6億1,494万ドルだった。

(エライ・バシュ)

(EU、トルコ)

ビジネス短信 d330f7961ae88e41