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EU、中国との包括的投資協定に大筋で合意

(EU、中国)

ブリュッセル発

2021年01月05日

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と欧州理事会(EU首脳会議)のシャルル・ミシェル常任議長は2020年12月30日、中国の習近平国家主席とテレビ会談を実施し、市場開放や公正な競争環境の確保など、投資環境の整備を目的とする包括的投資協定(CAI)に原則合意したと発表した。中国と比べて、外国企業に対して開放的な政策を掲げるEUは、CAIによりEU企業の中国市場へのアクセスの改善や規制緩和が進むとし、欧州委のフォン・デア・ライエン委員長は、CAIを「中国との経済バランスをより均衡にする」ものだと強調した。

自動車など、EU企業の中国市場へのアクセスが改善

協定の詳細はまだ公表されていないものの、欧州委の発表によると、CAIが発効した場合、EU企業の中国向け投資の約半数が集中する製造業など、多くの分野での市場アクセスが改善される。例えば、中国向け投資の28%を占める自動車分野では、EU企業に対する合弁企業(JV)要件が段階的に廃止され、電気自動車などへの参入も認められることになる。このほかにも、化学、通信機器、医療機器などの分野が、規制緩和の対象となる。サービス分野においては、金融分野の既存の段階的な自由化を継続し、不動産や賃貸業、交通機関の修繕保守、広告、市場調査、コンサルティングなどのビジネスサービス分野や、一部の大都市での民間医療機関におけるJV要件を撤廃する。また、通信・クラウドサービスにおける投資禁止規定を撤廃するとした。国際海運や環境関連サービスでも、さらなる市場アクセスが認められることになる。

また、公正な競争環境に関しては、中国のGDPの3割を占める国有企業に対して、通常の民間企業のように商業的考慮〔commercial considerations、GATT第17条1.(b)では、価格、品質、入手の可能性、市場性、輸送などの購入または販売の条件に対する考慮をいう、と規定)〕に基づき行動することを求めるほか、国家補助に関する透明性の改善、合弁企業への技術移転を強制する投資要件の禁止、行政手続きにおける企業秘密の保護などの規定も盛り込まれる。

さらに、投資の誘致や保護主義などを目的とした環境や労働分野での既存の規制水準の引き下げの禁止のほか、気候変動に関するパリ協定の順守や、強制労働の廃止などのILO基本条約の批准に向けた努力規定も含まれる。

EUとしては今後、CAIの正式な締結に向けて、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で承認を受ける必要があるが、一部の加盟国や欧州議会議員からは、中国の人権状況を問題視する声や、対中政策において米国との協調的な対応を求める声が上がるなど、CAIの早期批准に対する慎重論も根強い。

(吉沼啓介)

(EU、中国)

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