2020年の新車登録台数、電気自動車が初めてシェア50%超え

(ノルウェー)

欧州ロシアCIS課

2021年01月19日

ノルウェーの道路交通評議会(OAF)の1月5日の発表によると、2020年のノルウェーの乗用車の新車登録台数のうち、電気自動車(BEV)が占める割合が54.3%となり、初めて5割を超えた(添付資料表参照)。

同発表によると、2020年のノルウェーの乗用車の新車登録台数は前年より0.7%減の14万1,412台だった。他の欧州諸国と比べてノルウェーでは、新型コロナウイルスの感染拡大の度合いは低水準で、そのため、カーディーラーの閉鎖などの制限措置も取られておらず、影響は軽微にとどまった。燃料別にみると、ガソリン車、ディーゼル車ともに前年比で半数近くまで減少した一方、BEVは27.3%増となり、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)と合わせて約75%を占めた。

ノルウェーでは、温室効果ガスの排出ゼロ車(BEVと燃料電池車)を購入する場合、25%の付加価値税(VAT)に加え、車種や排出量によって課せられる車両購入税と道路利用税に当たる交通保険料が免除される。また、高速道路利用料や駐車場料金の減免、バスレーンでの走行許可など手厚い優遇策で、排出ゼロ車の導入を推し進めてきた。政府は2017年に策定した「国家運輸計画(2018-2029)」において、2025年までに販売される新車の全てを排出ゼロ車にする目標を定めている。2021年1月8日に発表された、2030年までの温室効果ガス削減に向けた計画を定めた「気候計画(2021-2030)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでも、同目標実現の重要性が強調されている。

一方、化石燃料車の販売台数減少とともに、自動車関連の税収は大幅に減少しており、政府は現在の税制は持続可能でないとし、税制改革に取り組んでいる。「気候計画(2021-2030)」では、二酸化炭素(CO2)排出に対してより高い課税を行うとしており、現在の1トン当たり約590ノルウェー・クローネ(約7,670円、1ノルウェー・クローネ=約13円)の課税額を2030年までに、2,000クローネに引き上げるとし、これに準じた自動車課税を行う。車両購入税はこれに沿うかたちで今後引き上げられ、交通保険料についても2021年3月から排出ゼロ車を含む全ての車種で引き上げる。

政府与党間では、排出ゼロ車に対するVAT免除措置廃止の方向性についても一致しており、2021年で免除措置が終了することが懸念されていたが、ノルウェー政府は2020年11月に2022年までの適用延長をEFTA監察局(ESA)(注)に申請、ESAは2020年12月16日にこれを承認している。

(注)EUに加盟していないノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインが、EUと締結する欧州経済領域(EEA)協定の義務履行について監察する機関。協定では、EU単一市場へのアクセスの条件として、公正な競争条件の確保など、EUのルールに準拠することが定められている。

(福井崇泰)

(ノルウェー)

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