米FRB、金融政策の現状維持を決定、早期の緩和縮小を否定
(米国)
ニューヨーク発
2021年01月29日
米国連邦準備制度理事会(FRB)は1月26、27日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定した(添付資料図参照)。政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は0.00~0.25%に据え置くとともに、金融政策の現状維持(米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券を月400億ドルのペースで買い入れ)を決定した。今回の決定はメンバー11人の全会一致だった。
FOMCの声明文では、米国経済全般の状況判断について、これまで「経済活動と雇用は引き続き回復している」としていた文言を「経済活動と雇用の回復ペースはこの数カ月緩やかになっており」と下方修正するとともに、「新型コロナウイルスの感染拡大による打撃が最も大きかった産業に弱さが集中している」という表現を追加し、足元の景気認識を修正している。また「景気の動向は、ワクチン接種の進捗も含め、新型コロナウイルスの感染拡大状況に大きく左右される」として、始まっているワクチン接種の進捗にも懸念をにじませた。
ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見で、新型コロナウイルス感染再拡大について「ここ数カ月の入院患者数や死者数の増加は何百万人もの米国人にとって大きな困難となっており、経済活動や雇用創出の重荷となっている」と述べた。一部で指摘されている金融緩和の縮小については「テーパリング(金融緩和縮小)については時期尚早。当面は目標に向けた進捗状況を注視すべき」として強く否定した。また、新しく就任したジャネット・イエレン財務長官との協力について「政策運営上、良好な関係を築くことができると確信している。イエレン氏とはまだ話していないが、近いうちにミーティングが開かれるだろう」と述べた。
TDセキュリティーズ(ニューヨーク)のシニア米国金利ストラテジスト、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏は「FRBは回復ペースの鈍化と新型コロナウイルスワクチン接種の進展具合について、これまでよりも懸念を深めたもようだ。こうした懸念が声明に盛り込まれるのは初めて」と指摘した(ロイター1月27日)。
(宮野慶太)
(米国)
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