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ドイツ産業界、EU・英国協定合意に安堵、実務上の課題解決を要望

(ドイツ、英国)

ベルリン発

2021年01月07日

英国政府と欧州委員会が12月24日にEU・英国間の通商・協力協定に合意したことを受け(2020年12月25日記事参照)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は同日発表の声明で「この合意は歴史的に意義がある」と歓迎し、交渉チームへの謝意を表した。さらに「今回の合意により、われわれはドイツ・英国関係の新たな章の基礎を構築することになる。英国は今後もドイツならびにEUにとって重要なパートナーであり続けるだろう」と述べた。

ドイツの経済・業界団体も合意を受けて声明を発表、合意に安堵(あんど)と歓迎を表明するとともに、今後の懸念事項や協定実施に向けた迅速な新ルールの適応などを求める声が相次いだ。

キール世界経済学研究所(IfW)のガブリエル・フェルベルマイヤー所長は「通商・協力協定により、ドイツ経済にとって最悪の事態は免れた。(協定不在の場合)ドイツの主力製品、例えば自動車に相互関税10%が課されれば、そのコストは大きいものになっただろう」と述べた。一方で、関税撤廃を享受するためには原産地規則を満たす必要があり、これには新たに手続きの負担が生じる。さらに、一部のドイツ企業はサプライチェーンの再編成を迫られるとし、今後の追加コストやサプライチェーン面の問題点を指摘した。

在英国ドイツ商工会議所(AHKGB)のウルリッヒ・ホッペ事務局長は、困難な交渉が前向きな結論に達したことを歓迎した一方で、「商品やサービスの取引はより高額になり、特に(EU市民も対象となる)新たな移民法の施行により、国境を越えたサービスの提供が不可能になる可能性」を指摘。「英国とEUの間で、個人や企業が相互に学び合う機会を与える新しい枠組みの開発に取り組む必要がある」として、欧州の未来のために英国とEUとのつながりを維持する重要性を強調した。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルド・ミュラー会長は合意の成立に安堵したとして、「企業はようやく自由貿易協定活用のための準備をすることができる。協定の締結は現状下で達成可能な最良のシナリオ」と評価した。一方で「今は実務的な障壁を可及的速やかに乗り越えることが重要」であり、「企業が実際に協定を利用しやすい原産地規則に関する取り決めがなされることを期待する」と述べた。VDAによると、英国はドイツの自動車メーカーにとって2019年の最大の輸出先だった。さらに、ドイツの自動車産業は英国に100以上の生産拠点を有し、自動車生産工程で英国とEUは非常に緊密な関係にある、と指摘している。

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)のウォルフガング・ベーバー会長は、英国のEU離脱に伴う移行期間の終了目前に合意ができたことを肯定的に評価する一方で、「今後のEU・英国間貿易で生じる通関などに必要な煩雑な手続きは恒久的な障害と見なされており、ジャストインタイム方式の生産工程は、在庫保管を伴う配送方式に切り替えなくてはならない」と、長期的にはEUと英国間の貿易に損失が生じる見通しを示した。

(中村容子)

(ドイツ、英国)

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